香港】自治・自決権を求め闘いはつづく-香港区議選の結果をうけて

香港区議選勝利に喜ぶデモ隊(11/26)
区議選勝利までの経緯は香港市民に大きな自信をもたらした(11.26)

香港区議会議員選挙の結果と民主化闘争の行方

 11月24日、香港区議会議員選挙が行われた。6月以来、政治犯の北京政府への引き渡しを容易にする「逃亡条例」改正案を巡って始まった市民の抗議行動は200万人の市民が参加するデモに発展して行った。それに対して警察の弾圧がエスカレート。学生や急進派市民との衝突が続く中での今回の投票にどのような結果が出るかが注目されたが、即日開票の結果、民主派市民の圧勝となった。

香港区議選の結果
区議選の結果を報じる現地メディア

 今回の選挙では4年前わずか47%程であった投票率が71・2%へと飛躍的に拡大。有権者413万人のうち294万人余りが投票し、民主派が167万票余りを獲得する大勝利となった。この結果、民主派は18選挙区全452議席(他に無投票の特別枠が27議席ある)のうち前回127議席の3倍を超える389議席へと拡大した。

 一方親中派は122万票で前回323議席から61議席へと転落。北京政府当局と、その手先である香港警察への市民の怒りが露わとなった結果であった。得票差以上に議席配分の差が大きいのは選挙方式が小選挙区制であることによるもの。

予想を覆され混乱する北京政府

林鄭月娥香港行政長官
林鄭月娥行政長官

 この投票結果は、全くこのような結果を予想していなかった北京政府当局に不意打ちをくらわせた。投票直前まで、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は急進化する学生や市民の行動に対抗して「サイレントマジョリティ(声なき多数派)は民主派の行動に批判的」と主張していたからだ。

 中国メディアと北京政府当局はこの言葉を信じ、投票当日に至るまで「親中派の勝利」を確信していた。11月26日のフォーリン・ポリシー誌によれば、共産党系の「環球時報」および「人民日報」では選挙前夜まで親中派圧勝の予定稿を作っていたほどだった。

 ところが一転! 11月26日のAFP通信によれば、北京の国営メディアは投開票翌日の25日まで香港の選挙に関して一切報道することができず、中国中央テレビ(CCTV)の看板ニュース番組「新聞聯播(Xinwen Lianbo)」も夜の放送で選挙結果を一切取り上げなかった。

 一方、共産党機関紙「人民日報」は「社会不安が選挙の過程をひどく混乱させている」と報道。英字紙チャイナ・デーリーは社説で、投票結果は「不正工作」「脅迫行為」によるものと述べ、「反政府運動をあおる外部勢力」へと責任をすり替えている。北京当局は判断力麻痺の状態に陥ったと言える。

警察による流血の弾圧への怒り

警察の弾圧が市民の反感を呼んだ

 このような結果を引き起こした原因は、香港市民の民主的権利が大きく制限されている事もあるが、それに抗議する市民への警察の弾圧の凄まじさが大きく影響を与えているだろう。

 市民の抗議行動が拡大するにつれて警察の治安弾圧もエスカレートしてきた。デモ行進を不許可とし、毒性が強くダイオキシンまで検出される中国製催涙ガス、実弾の発砲、聴覚を破壊し脳細胞に危害を加える凶暴な音響新兵器までも使っての流血の弾圧や、さらに市民の中にスパイを紛れ込ませての挑発、警察と結託した白シャツ暴力集団による市民への無差別テロなどやりたい放題の弾圧を繰り返してきた。
 香港政庁はこれに加担し、悪質な「覆面禁止条例」を公布。こうした香港政庁・警察一体となった弾圧強化が市民の怒りを燃え上がらせたのだ。

機動隊の催涙(毒液)攻撃
機動隊の催涙(毒液)攻撃

 民主主義と自由を求める香港市民のたたかいは警察による報復弾圧の拡大にも関わらず前進している。大学に立て篭もった学生たちを包囲する警察に対する市民の抗議の声も広まった。区議会議員の政治的権利は大幅に制限されているが、この選挙に圧勝した意味は大きい。選挙におけるこの勝利は、警察の弾圧にも一歩も怯まずに闘い続け、勝ち取った大きな成果である。市民たちは自分たちの持つ力にいま、自信を持ちつつある。

アメリカの介入は何を意味するか

催涙弾を発射する機動隊

 11月19、20日、「香港人権・民主主義法」が米上下両院で圧倒的多数で可決。それを受けて27日、トランプ大統領が署名し、この法が成立した。これに対して中国政府はアメリカを激しく批判している。

 この法律は香港の「一国二制度」を米政府が毎年監視することを義務付けるものであり、1992年、イギリスから中国に返還された時に定められた「米国・香港政策法」を再確認するものである。それは香港の民主的運営が確認されて初めて、各国からの経済投資も安心してできるという事であり、香港の民主主義が中国と世界の経済発展を保証するものとも言えるものである。

雨傘で催涙ガスに耐えるデモ隊

 実際に中国資本主義の発展は、この香港市場に大きく依存している。香港市場を経由して日欧米の資本や、アジアの華僑系資本から米ドルを調達し、また国外への投資拡大で中国資本主義の発展は保証されてきたからである。

 株式市場の時価総額で比較すれば、香港は今年4月ついに日本を抜き、米国、中国本土に次ぐ三位に浮上した。更に11月26日には通販の世界的大手・アリババ集団の香港市場での新規株式上場(IPO)を行ない、1兆2千億円相当の外貨を調達した。中国企業のIPOによる資金調達の累計額は香港市場が3350億ドルで上海市場の2680億ドルをはるかに上回っている。

 もしも米国が「香港人権・民主主義法」により米ドル・香港ドルの為替取引を停止すれば、中国経済はとてつもない打撃を受けることになる。

香港市民の自由を勝ち取ろう

習近平とトランプ
利益で結ばれた米中の矛盾的共存関係

 だがこれはほんとうにアメリカの「人道主義」による措置なのか?
 これまでアメリカは「人権」「自由」を標榜しながらベトナム・インドシナに介入し、アフガンに軍隊を送り込み、イラクを爆撃し、世界中で多くの犠牲者を出してきた。米政府が香港の市民運動を利用して中国政府との「資本主義経済戦争」を始めようとしている事を見逃すべきではない。アメリカの真の目的は経済的利益である。

 米中の経済戦争に加担するな!香港の自治権獲得のためにたたかおう!それは香港700万市民の自由と民主主義のためのたたかいである。

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