謎の秘事「大嘗祭」の憲法違反と反時代性
折口信夫『大嘗祭の本義』にみるグロテスクな儀式説

巨費投じ儀式への理解もない国民を動員していく恐怖

たった一夜の儀式のための仮宮造営20数億など166億の巨額浪費
不気味な宗教儀式…戦前回帰?への洗脳儀式に感じる恐怖

大嘗祭反対!@トーキョーステーション

 11月14日夜、神話時代の神々と交信する(?)と言う、オカルトで不気味なたった一晩の儀式のため…20数億もの税を費やした令和の「大嘗祭」が執り行われた。
 同じ頃、東京駅頭で多くの市民による「大嘗祭反対!@トーキョーステーション」が開催されたが、数百人のデモ参加者をその3倍以上の警官が包囲すると言う異様な空間となった。その先の皇居内では、一般の目を拒絶した全くの<闇>の中で新天皇が「皇祖神アマテラス」と共に供え物を食すると言う、改元天皇一世代一回限りの秘儀などが行われたとされる。
 全くの秘密裡に何ら知らされない…従って何の納得もないまま、なぜ全ての国民がこの得体の知れない儀式に否応なく協力させられる形になるのか?…政教分離の原則すらない恐るべき戦前回帰への足音まで聞こえてきそうな、天皇一族の謎の儀式は断じて見過ごされてならない。【関西M】

<国民統合>の象徴か、<非合理>の象徴か?

深夜に行われる謎の秘密儀式

 11月14日夜~15日未明にかけ大嘗祭の中心儀式である「大嘗宮の儀」が行われた。
 これは天皇が在位中に毎年執行する、その年々の新穀を天照大神~天神地祇らに供え天皇自らも食すと言う「新嘗祭」の起点とされる。その内容は非公開ながら、新天皇を「完全な天皇」にするために不可欠な、神道でも最も重い祭祀と位置づけられる。

 戦後の現行憲法下で初となった先の平成天皇の大嘗祭(1990年11月)を、自民党政府は国事行事に準じる「公的な皇室行事」として国家予算を支出した。今回もそれを踏襲して行われたが、10月即位の礼からこの大嘗祭までの一連の行事で前回を数十億も上回る166億円以上の巨費が投じられた。もちろん、何の国会論議もないままにだ。

折口信夫「大嘗祭の本義」でのグロテスクな儀式説
前帝・亡骸と同じ布団にくるまる?

折口信夫(1887年- 1953)
折口信夫(1887- 1953)

 わが国の民俗学の最高権威の一人である折口信夫*は、昭和天皇での大嘗祭がおこなわれた1928年(昭和3年)前後から自らの天皇論と大嘗祭に関する論考を積み上げ、1930年にはこれらを総合的にまとめた「大嘗祭の本義」学説を発表した。(「大嘗祭の本義」全文:青空文庫)

 折口はこの中で、天皇の権威の根拠を「万世一系」の血筋ではなく、「肉体を入れ替えて復活をとげる霊魂」なる存在の継承であるとの学説で説明した。これは前帝の亡骸と新帝の肉体と言う二つの〈御身体〉を〈一つの衾で覆うて〉この霊魂が継承・復活するという、まるでオカルトホラーとまで思わせる大嘗祭儀式のことをさしている。

 折口によれば、古代には生死を明別する意識が薄く、平安期でも生死の概念がはっきりしなかったので、前述の「天皇霊」が前の身体に戻るか、新天皇と言う別の身体に移るかを確認する必要があった。そのため前帝の亡骸、具合的には長い殯(もがり)の期間を経て、ほとんど白骨と化した前帝のミイラと一つの布団での「同衾(どうきん)」するのだと言う。怖すぎる!。

 天皇主義勢力らの言う<神聖な心新たまる禊>どころか、これではドルイド的原始宗教を思わす恐怖だ。この権威のある折口説の他にも、俗説各説おりまぜて伝えられており、たとえば天皇と采女(うぬめ:天皇に仕える女官)だけが入る部屋には寝座(しんざ:布団)が設けられており、ここで性交渉が行われると言う説など、いずれにせよそのどれもがまったく突飛な驚愕の秘密儀式ばかりだ。

 まるでゾンビの復活儀式のようなおぞましい行為を<ゆかしき伝統>だ、として何らの検討も振り返りもせず2千年以上も唯々諾々と受け繋いで来た天皇家と言う存在。さすがに今回は先の平成天皇が存命しており、こんな奇怪な行為こそなかったとは思うのだが……。
 それでも今回ですら<寝座>は設けられている。令和の新天皇はここでいったい何と「同衾」したのだろう。  

 本当にこのような狂気じみた感性が、我われ民衆に必要なのか?…それに否応なく参加させられる事がこの時代に許されるのか?…断じて議論が必要だ

 彼ら天皇一族が気味悪く不合理なモノを今も受け入れる存在だとすれば、多くの他者にもその不合理を平気で押し付ける存在でもあり得るかも知れない。それこそ余りにもおどろおどろし過ぎて?もしくは逆に余りにも無内容過ぎて?だから国民には公開出来ない儀式なのだろうか?

 いずれにしても自公反動政権でさえ「国事行為」として策定出来ないことにも示されているように、「大嘗祭」は上記内容や意味合いからも、非常に反時代的な神道儀式であることは明白だ。

明白な「宗教儀式」に公金を支出する憲法違反

ひと晩だけのために24億数千万円

 ゆえに「公的な皇室行事」などと称して多額の公金(宮廷費)を支出するのは露骨な脱法行為だし(儀式後ただちに取り壊す建物の造営だけで総額24億4000万円の支出など)、憲法の政教分離原則(第20条)および宗教活動への公費支出禁止(第89条)に完全に違反している。 

 大嘗祭が行われる悠紀殿、主基殿にカメラが入ることもなく、具体的な内容はベールに包まれたままだ。そもそもこうした儀式で「公的行事」として公金を支出する以上は、その内容を「不明」「秘儀」で押し通し、税金を拠出する国民には何も知らせないは通用しない。
 たとえ日本で許されても、世界はオカルト国家=不気味な日本として認知するだけだ。21世の地球で、こんな科学的常識や合目的理性の欠けらも持ち合わせない存在が、今の国民統合の象徴たるに相応しいのか?  

 それでもどうしても公金を支出したいと言うなら、まず「大嘗宮の儀」の全貌を公開すべきであるし、新天皇の直ぐの弟が苦言を呈したように、やはり自分たちの皇室費内に留めるかのどちらかであったろう。

 こんな神を迎えると言うよりかは、まるで悪魔を召喚するかのようなおどろおどろしい宗教儀式に、何と166億円も費やされた。即位前後に襲った台風19号被害対応で予備費から7億。台風15号では13億、合わせてわずか20億だ。
 100名以上が命を落とし悲嘆にくれる各地民衆を尻目に、深夜のこんな説明のつかない儀式の仮宮造営だけに何と24億円以上の支出。それもわずか深夜の半日だけの儀式の後で即座に取り壊す施設のために。
 これほど愚かな実態をおかしいと思わない人の方が、むしろおかしい。

首相ら公務員参列など数々の憲法違反

国民は内容も知らされずに動員され「万歳」を叫ぶ

 この大嘗祭には首相安倍ら「三権の長」はじめ国家公務員が参列した。これも「国及びその機関」の宗教活動を禁じた憲法(第20条)に違反することは明らかだ。

 この式で、天皇も食する新米を収穫する田(斎田)は、亀の甲羅を焼く占いによって全国から選ばれた(今回は栃木県と京都府)。大体、絶滅危惧種である海亀の甲羅を引き剥がす事自体が動物虐待の最たるもので、新天皇の言う<万物の平和・安寧>がいかに口先のモノか判断出来る。

 さらに全国各地から特産物が供出されるなど日本各地を神道・天皇制の儀式の渦に巻き込み、現代の皇民化政策の重要な役割も果たす。
 この各地での大嘗祭に関する経費は公金(地方自治体財政)から支出され、公務員が総動員される。ここでも重大な憲法違反が生じているし、まさに戦前を復活させる儀式が戦後民主主義の世とされる今の日本でまかり通ってしまったと言う事実は重い。  

 大嘗祭こそは、「王権神授説」「天皇=現人神説」を根拠づけ、「天皇制ファシズム」と呼応する儀式だったとの歴史の反省をさらに深め、相互で意識づけせねばならない。天皇が、我われにとって必要な<希少な>存在か、それとも<キショイ>存在なのかが問われねばならないだろう。

*折口信夫(おりくち しのぶ、1887年- 1953年)
 日本を代表する民俗学者、国文学者の一人であり、詩人・歌人でもあった。柳田國男の高弟として我が国の民俗学の基礎を築いた。折口が大嘗祭の起源の研究を通じて、天皇とは何かを語った講演が、昭和の大嘗祭の2年前に行われた「大嘗祭の本義」である。

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