米国覆う医療の闇とキューバとの対比
カンヌ映画祭最高賞に輝くMムーア監督が、米国医療の闇をえぐった2007年度作品。現状のコロナ禍でも浮かび上がった、5千万人もの医療保険なしの国民窮状がこれでもかと映し出される。
大ケガだが針で自分を縫う男、無保険と病院に気付かれ、道に捨てられる老女…。
たとえ保険に加入していても、あらゆる手段で支払拒否をおこなう民営の保険会社と製薬会社の凄まじい悪行。
そして英・仏、さらには米大統領が<悪の枢軸>と呼ぶ隣国キューバなどと医療制度を対比させ、アメリカ医療の暗部を見せつける。
映画終盤、医療難民がキューバを訪れ、米国で毎月数百ドルの薬がわずか数セントと知り泣いて感動する。
同国責任者として登場したアレイダ・ゲバラ女史は「命はビジネスにしない」とキューバ医療が目指す未来を高らかに語る。