主張】解釈改憲はここにも!次々進む生存権侵害の制度化!

安倍政権の解釈改憲はここにも!

次々進む生存権侵害の制度化!

嘘しかない

前回総選挙での安倍の公約ポスター


大野和興(TPPいらない人々、日刊ベリタ代表)

 憲法解釈を変えるという禁じ手を解禁して軍事路線に突き進む安倍政権は、一方でやはり憲法が定める生存権、基本的人権を解体しながら経済成長戦略を追いかけている。

 安倍政権が壊しているのは9条だけではない。憲法11条の基本的人権、12条の自由・権利の保持の責任、13条の幸福追求権に始まる人々の自由権、そして25条の有名な「健康で文化的に生きる」ことを定めた生存権、26条の教育を受ける権利、27条の働く権利、それを受けて28条の勤労者の団結権など、憲法には大概のことがある。それに9条が加わって、私たちは平和におだやかに、人びとに暴力を振るわず、振るわれないで生きていく権利をもつ。そのすべてがいま解体されつつある。TPP推進とも絡んで進むその状況の一端を追ってみた。

労働基本権の侵害

 地域限定社員制度とか派遣労働の永続化など解雇規制の緩和が進んでいる。今国会に提出されている労働者派遣法の「改正」法案は、人を入れ替えれば、派遣労働者を永続的に使い続けることができることを狙っている。いまユニクロなどが非正規スタッフを正社員にしますと大々的に宣伝している地域限定社員は、地域の工場や店が潰されたら労働者の雇用もなくなる。解雇自由化に他ならないのがこの地域限定社員なのだ。

 くわえて、産業競争力会議では残業代ゼロの労働時間制度の改悪が論議され、6月末にも閣議決定という方向が出されている。提案はいまのところ企業の幹部候補生や高度な専門職に限るとされているが、一度制度化されると労働者全体に拡大することは目に見えている。ただでさえ日本ではサービス残業が横行し過労死が続発している。労働時間規制を外せば、健康破壊と過労死が続発することは火を見るより明らか。残業代がセロに!

医療の産業化と規制緩和

 人々の生命に直結する医療制度も、成長戦略の目玉として規制緩和の対象だ。いま安部政権が進めようとしているのが混合診療である。

 TPPに入っても国民皆保険制度は守られると政府は述べている。そこに風穴を開けるのが混合診療である。日本の医療市場は膨大であり、公的保険制度はこの膨大なマーケットへの医療や製薬、民間保険など海外資本の参入の障壁となっている。それをどうにか突き崩そうというのが混合診療で、保険と保険外を併用することができるようになる。こうした形で公的保険制度が崩れ、カネがないと医療が受けられない状況が進む。

TPPを先取りする農業政策転換

 農業の規制緩和では農地のことが大きな対象となっている。“強い農業”をつくるために企業の農業参入を推進するための方策だ。すでに農業政策の方向は、兼業農家や高齢農家、家族で耕す小規模農家を政策の対象から外し、農業の主体を企業にすることで固まっている。そのためには、農地への株式会社の参入に制限を設けている農地法がじゃまになる。

 また、TPPを受け入れるということは、内外の農業資本が進出できるよう農地に関する規制を撤廃することにつながる。その意味では農地法というのは労働法と同じで、非関税障壁とみなされる。そのために現実に進もうとしているのが、「農地法の番人」といわれる農業委員会を解体し、農地の許認可権を首長に移すという方向だ。行政の長というのは開発志向だから、これが実行されると農地が農地でなくなる。

TPPを断固阻止しよう

国家戦略特区とTPP

 昨年末に法制化された国家戦略特区のうたい文句は「世界で一番ビジネスがしやすい環境を作る」。大阪は国家戦略特区に名乗りを上げており、目玉は医療特区である。混合診療や最先端診療、医療ツーリズムなどがメニューにあがっている。

 労働の分野では「雇用労働相談センター」を特区の中に作りますというのが福岡の計画のなかにある。労働相談では労働委員会、基準監督署、労政事務所と今もいろいろある。なぜ、新たにこういうものを作るのか。日本に投資した外資が労働問題で悩まなくてすむようにしますというのがこの機関だと見ることができる。

 また、新潟市や兵庫県養父市で行われる農業特区では外部資本がその地域で農業を自由に営むことが出来るよう農地への参入を認めようとしている。
 耕すものが土地を持つことこそが土地が持つ公性を示すことである。農民的土地所有を守って闘わなければならない。

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