書評『モーターサイクル南米旅行日記』チェ・ゲバラ著
革命家となった医学生…ゲバラの夢は今もつづく

 革命家ゲバラが世界に目覚めた貴重な青春と旅の記録。

 南米アルゼンチンで富裕な資産家の父をもつ23歳の医学生だったゲバラ。1952年、友人のA・グラナードとおんぼろバイクで南米縦断の旅に出る。持病の喘息に苦しみながらも、途中恋人と再会したり、人妻に誘われる騒動に巻き込まれたりと、若さとバカさいっぱいの青年の旅を続けるが、次第に彼らの旅は別の色彩を帯びてくる…。

『モーターサイクル南米旅行日記』チェ・ゲバラ著

 ゲバラは南米のいたる所で多くの貧しい人々と出会い、土地を奪い家を焼き払う外国資本を目の当たりにし、強い怒りを感じる。

 マチュピチュでは、堂々たるインカ遺跡に失われた南米の文明に触れる。

 アマゾン奥地のハンセン病隔離施設で一時働いたゲバラとアルベルトは、患者たちと心のつながりを深め、宗教の無力も感じる。

 この地でゲバラは24歳の誕生日を迎え、その祝宴で「旅を通してより強く確信しました。南米は、みせかけだけの国境というもので分けられているが(中略)似通っているひとつの混血民族です。ちっぽけな地方主義の重荷など捨てて、ひとつの南米に乾杯を!」と語るまでになる。

 この著は大部であり、全容をつかむには映画〈モーターサイクルダイアリーズ〉があるので、それを初めに見るといいかも知れない。

 この著のしおりには〈しばし伴走した友との記録〉とある。

 そうだ。ゲバラと旅を伴にしたA・グラナード。
 ゲバラと旅の終わりで別れを告げたグラナードは、数年後革命直後のキューバに迎えられ、友と誓った民衆と連帯する医療と言う夢を追って、同国に医科大学を創立する。

 そこから多くの心ある医学生を世に送りだし、友との誓いに報いた。
 その医学生の一人こそ…ゲバラの長女アレイダゲバラさんだ。
 …輪廻は巡る。


   

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