関西生コン弾圧事件「京都3事件」の本質とその解説/佐藤隆
- 2020/5/18
- 反弾圧, 連帯経済, 関生型労働運動
- 2018関生弾圧事件, 佐藤隆
敵側資本と対峙した
<計画的集約化事業・産業政策運動と「脱成長論」>

日本社会を支え変革する関生労組の産業政策運動
ベストライナー・近畿生コン・加茂生コンの京都3事件の公判がようやく始まりましたが、いろいろと解り難い内容があると思います。
しかし、この弾圧の対象となった関西生コン支部の「計画的集約化事業」「生コンプラント新増設反対闘争」とは、「少なく作って、多く分かち合う」という「脱成長理論」にも通底する創造的な取り組みであったのです。
京都3事件では、「ベストライナー倒産解雇の解決金を京都協組に支払わせたこと」が恐喝、「近畿生コン倒産に伴い、納入シェアが京都協組に分配されたことの解決金を京都協組に支払わせたこと」が恐喝、「加茂生コン閉鎖に伴い、生コンプラントの解体とミキサー車の洛南協組への引き渡しを要求したこと」が強要未遂・恐喝未遂とされています。
ところで、関西生コン支部が取り組んできた「計画的集約化事業」「生コンプラント新増設反対闘争」とは、不況業種である生コン産業で、事業主体の中小企業が協同組合に結集することを促しつつ、過当競争による経営悪化と労働条件の切り下げを起こさないため外部からの新規参入に反対し、さらに需要総体が落ち込む中でも清算される企業の商権とそれに伴う雇用責任を協同組合が引き継ぐ取り組みです。
もって、関生支部は「競争から共存へ」「会社が潰れても労働組合は残る」の旗を掲げ、不況業種であっても安定した労働条件を作り出してきたのです。
これは企業内労組の「成果配分論」の真逆に位置します。つまり「企業は救済しても労働者は切り捨てる」という、これまでの新自由主義の経済政策と真っ向から対決するものです。
この「計画的集約化事業」「生コンプラント新増設反対闘争」が新自由主義の市場原理と全く異質なものとして、「事業活動への干渉が健全な経済活動に重大な悪影響を与えるとして」(組織犯罪対策法第1条)、その断片を捉えて、「恐喝だ」「強要だ」としているのが京都3事件の弾圧の概要なのです。
消費を煽って「稼げるだけ稼ぐ」グローバリズムが、自然破壊とヒト・モノの過剰流動性を生み出し、それが今の恐るべきパンデミックを引き起こしている現在、「少なく作って、多く分かち合う、ツケは富めるものに支払わせる」という関生支部「計画的集約化事業」「生コンプラント新増設反対闘争」は、現状を打開する「脱成長理論」として、その創造的な意義についての理解を広めていくべき時だと思います。
2020年4月14日 佐藤隆