オンライン講座が開いた労働学校・アソシエの新地平/斎藤日出治
「知」の広域ネットワークの形成と広がり

コロナ・パンデミックの危機に立ち向かう
オンライン講座が拓いた労働学校の新地平

大阪労働学校・アソシエ学長 斉藤 日出治

大阪労働学校・アソシエ学長 斉藤 日出治

「知」の広域ネットワーク網が
大阪―愛知―東京でON,OFF両用の広がり

 本労働学校はパンデミックの危機に立ち向かう中で、思わざる成果を上げつつあります。

 わたしたちは四月以降、教室での開講が難しくなったつぎの各講座を、オンラインで開催してきました。
 協同組合講座(斉藤隼飛講師)、経済学講座(松尾匡講師)、「武器としての資本論」講座(白井聡講師)、フェミニズム講座(井上彼方チューター)がそれです。


 オフライン講座をオンライン講座に切り替えることによって、本校は、労働者・市民の交流を学働館という校舎を拠点とする地理的制約から解き放ち、広域のネットワークへと再編することに成功しました。

 ちなみに四月の松尾匡講師の講座は一度に70名の受講者が視聴しました。学働館の教室規模では考えられない参加です。大阪と愛知や東京教室をネットワークで結び、全国各地で、労働運動、市民運動に取り組んでいる仲間と、現在の危機的状況をどのように主体的に切り開いていくのかを議論する場を創出することができたと実感しました。

 六月以降は、学働館での対面講座も再開し、労働講座、ものの見方・考え方講座は教室現場での討論ができるようになり、オンラインとオフラインの両輪によるネットワークの広がりを追求しています。

オンラインのスタートが講座を変えた

大阪労働学校アソシエ・フェミニズム講座

 オンライン講座のスタートは、労働学校のネットワークを押し広げただけでなく、労働学校の講座編成や講座内容にも、大きな転換をもたらしています。

 オンライン講座では、狭義の労働運動や労働問題を超えて、日本および世界が直面する経済・社会問題、古典思想による現在的危機の解読、フェミニズムの思想の探究、といった経済的・思想的・文化的な次元の課題を取り上げ、それらの課題が労働運動・労働問題と共振しながら、社会闘争の新たな地平を開示する道を模索しつつあります。

 こんにちの労働運動が企業権力に回収され、資本の攻勢に対する抵抗の運動になりえていない状況は、労働運動だけの問題ではありません。

 私的所有と市場競争の自由に最高の価値を置く世界観の浸透、自然から資源を際限なく抽出することを自明のものとする採取・採掘主義的な自然観の支配、ステロタイプ化されたセクシュアリティやジェンダーの見方など、社会のあらゆる諸領域のあり方とも連動して生み出されているものであり、これらのあり方の変革なしには、労働運動の再生も発展もありえません。

労働学校の課題を進化させ新地平を開く

 関西生コンの連帯労組の労働運動は、職場の経済的な条件闘争を超えて、生コン産業の中小零細企業の経営者とどのように連携するか、生コン産業の公正で民主的な政策をどう推進するか、都市環境の整備にどのような社会貢献ができるかを考え実践してきました。

 さらにはそれを、敵対関係と貧困を増幅する資本主義に代わるオルタナティヴな社会・経済の仕組みをどのように構築するか、という課題を追究することによって、労働運動を社会変革の闘争へと昇華させてきました。連帯労組の運動が大弾圧を受けたのは、ほかならぬこのような労働運動を創出したがゆえです。

 本労働学校は、二〇一六年の開校以来、この関西生コン型の労働運動に学びつつ、この社会闘争を理論的にも実践的にも発展させる道を追求してきました。そのため、業種別労働組合運動、事業協同組合、社会的連帯経済に焦点を当てて、学校運営を進めてきました。

 四月からのオンライン講座の展開は、本労働学校のこの課題をさらに深化し押し広げる新地平を切り開いていることをあらためて感じています。

弾圧跳ね返す連帯労組と連携
資本主義の危機を希望に向け突破する道へ

 協同組合論は、プラットフォーム協同組合に焦点を当てて、情報を集権的に独占するプラットフォーム資本主義のオルタナティヴとして、オンラインで組織する協同組合の組織化の道を提起しています。


 フェミニズム講座は、セクシュアリティと生命のありかたに向き合い、その問題を労働世界の新たな創造と連関させて考える認識を深化しつつあります。

 世界をどのように考えるのか、自然とどのように関わるのか、自己の身体や生命とどうかかわるのか、このような思考と労働とのかかわりを問い直す営みが、オンライン・ネットワークの組織化を媒介にして、進められつつあります。
 ここに、労働学校が担う新しい歴史的使命を実感することができます。

 武委員長と湯川副委員長が社会復帰した現在、労働学校は、連帯労組との新たな連携の地平を築きつつ、資本主義の破局的な危機の状況を未来の希望に向けて突破する道を確信しつつあります。


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