
薔薇マークキャンペーン(松尾匡・立命館大学教授)から、現況の新型コロナウイルス感染症に対する政府の施策発動での根本的問題を鋭く指弾する声明が3月1日発表された。
松尾教授はこの中で、政府からの各行事、事業での自粛など要請に対して2カ月で約6兆円の補償が必須であり、国債で対応すべきとして、人々の生活を守るための速やかな決断を促している。
緊縮政策が招いた人災
・新型コロナ感染拡大と生活防衛にむけて
薔薇マークキャンペーン事務局コメント

【概要】 新型コロナウイルス感染拡大に対し日本政府が無力なのは、過去20年で検査研究機関の予算を3割超も削減するなど、緊縮政策で公衆衛生をおろそかにしてきた結果であり、人災です。
また、安倍政権の全国一斉休校要請などの対策は、高まる政権批判をかわすために、迷走しながら無責任な強権発動をするものです。いま政府に求められているのは、強権発動ではなく、感染拡大をふせぐ行動を人々が取れるようにする大胆な財政政策です。
第一に、政府が要請したイベント等の自粛と学校休校については、労働者や自営業・サービス産業など影響を受ける方々への休業・生活補償が必要です。
第二に、本気で感染拡大をふせぐためには、政府は、労働者に100%の休業手当を払うよう事業者に求め、事業者には政府が補償をすべきです。
政府による休業補償の必要額は、私たちの試算では、2ヶ月で6.2兆円、1ヶ月で3.1兆円です。現状の政府の言う「予備費の2700億円」は全く足りません。全額、国債で対応すべきです。
これに加えて、緊急政策として、消費税の5%への減税が今すぐ必要です。
人々の生活を守るための、政府の速やかな決断を求めます。
(中略・抜粋) 未知のウイルスに対する精度の高い検査を行うには、国立感染症研究所と全国の都道府県・指定都市に設置が求められる地方衛生研究所での専門集団が確保されていることが不可欠です。 しかし、国立感染症研究所の予算は10年間で約20億円(3分の1)もカットされてきましたし、全国の地方衛生研究所でも予算や人員が削減されてきました。

例えば大阪市では、人員が4割も削減された上に、2つあった研究所が無駄とされ「検査は行政がやらなくてよい」と1つにされ民営化されてしまったのです(2017年4月)。
このような体制の下で、関係機関の職員は懸命に対応にあたっていますが、積極的な感染拡大防止策がとれないのは当然です。
これは緊縮政策で、公衆衛生をおろそかにしてきた結果であり、人災です。(⇒全文はこちら)