
玉城デニー知事は7月16日県庁で記者会見し、沖縄県内で新たに、米海兵隊キャンプ・ハンセンに出入りするタクシー運転手の80代男性に新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。

男性は日常的にハンセンで米軍関係の客を乗せており、在沖米軍基地で大規模クラスター(感染者集団)が起きた7月以降、米軍関係者から県民に感染した初の事例とみられる。
キャンプ・ハンセンは名護市、恩納村、宜野座村、金武町にまたがり、基地従業員は600人で工事業者の出入りも多く、米軍関係者と同じフードコートなどを使うケースもあるという。
沖縄の米軍基地では7月に入り、大規模クラスターが発生。16日までに普天間飛行場で73人、ハンセンで58人、嘉手納基地など3施設で4人が確認されている。この日知事は、新たに普天間飛行場で2人の感染が確認されたことも明らかにした。
3月分を含めた沖縄米軍基地の累計感染者は138人で、県内の累計感染者149人に迫る勢いで増えている。米軍は県内世論に押されて感染者の行動履歴のうちの一部をホームページで公表したが、それだけでは情報を隠そうとする米軍への不信感はぬぐえない。
現在、米国からの入国は原則禁止されているが、日米地位協定で米軍は出入り自由なため、日本の当局には入国拒否も患者の隔離政策をとる権限もないからだ。
本号一面「今こそ隷従日本の根源「日米地位協定」安保条約見直しを」
日米地位協定による日米合同委員会では、米軍基地内での検疫情報については米軍と地元の保健所間での情報共有が合意されているにもかかわらず、米国防省が3月30日に基地と部隊のコロナ感染状況は非公開とする方針を取り、安倍政権はこれを口実に米側に公表を要求していない。
この状況に対し、県民の命の軽視への怒りをもって沖縄県議会は全会一致で米軍に対して決議し、「基地封鎖を求める」「地位協定を改定しなければ県民の命は守れない」と指摘し、「今回の問題は沖縄だけでなく日本全体の問題だ」と米国に追従するのみの日本政府を指弾している。今、この危機を招いているのはトランプ・安倍両政権の責任である。