主張】衆院選結果をうけて
岸田自公政権の危険な「戦争国家」への道を阻止しよう

2021衆院選

生きづらい世の中を変える要は、
現場に根を張った労働運動の再生だ!

 今回の総選挙の結果、自民党は議席を減らしたものの単独で「絶対安定多数」の263(追加公認含む)議席を獲得し、公明党も議席を32議席に伸ばしたが、自公で改憲議席の3分の2を割った。しかし、自公補完勢力の日本維新の会が11から41へ議席を伸ばしたので、これを加えれば改憲議席を確保した。

 一方、5野党共闘は217選挙区で統一候補を擁立し、大都市部の小選挙区で甘利自民党幹事長(神奈川13区)をはじめ石原伸晃など大物議員を落選に追い込むなど自民党に競り勝つ成果もあげたが、沖縄3、4区でオール沖縄候補が敗れるなど、217選挙区で当選は62選挙区にとどまり、野党共闘全体としては比例区で政党票を伸ばせず、れいわの3議席を例外として全体に惨敗した。(立憲民主党・無所属98、国民民主党・無所属クラブ11、日本共産党10、れいわ新選組3、社民1)

第2次岸田政権発足

9条改憲、「敵基地攻撃能力」保有-危険な「戦争国家」の道       

 総選挙の結果を受けて、岸田第2次自公政権が発足した。岸田首相は、自民党総裁選の最中から、「任期中の改憲実行」「敵基地攻撃能力」保有の検討を繰り返し、総選挙に臨む自民党公約にもこれらが明記されていた。本格的に始動した岸田第2次政権は、「民意を得た」とばかりに、憲法9条改憲への動きと並行して、新安保戦略に着手した。

 新安保戦略の内容とは、来年の年末までに (1) 国家安全保障戦略 (2) 防衛計画の大綱 (3) 中期防衛力の準備計画を改定するというもの。最大の狙いは、中国の軍事的台頭に対抗して、米国の対中戦争戦略における日米安保軍事同盟下の日本の軍事的役割の拡大である。その焦点は、敵のミサイル発射基地などを破壊する「敵基地攻撃能力」の保有とそのための攻撃的兵器の導入など大軍拡計画である。具体的には、防衛費をこれまでのGÐP1%の5兆3千億円から2%以上、つまり10兆円を超える防衛費倍増計画である。
 岸田首相は、米国のバイデン大統領との首脳会談に向け年内にも訪米する構えで、この対中戦争をアメリカと共に担う大軍拡と防衛戦略の転換を手土産にする意向とみる。

 これまで、歴代自民党政権は、「敵基地攻撃能力の保有」は憲法違反との見解を維持してきたが、ここに風穴をあけたのが安倍政権の強行した集団的自衛権の行使容認の閣議決定と安保法制の強行であった。「ハト派」を自称する岸田政権の「敵基地攻撃能力」の保有への踏み込みは、この安倍政権由来の対米隷従と憲法破壊政治の馬脚を早々と現わしたものである。

9条明文改憲へ、自公、維新、国民民主党連携の危険

 同時に、岸田自民党が進めているのが、安倍政権の遺した憲法9条の明文改憲に踏み込むべく、臨時国会における憲法審査会での改憲案審議入りの狙いである。
 これに呼応したのが維新の会松井代表で、早々と「来年の参院選までに改憲案をまとめ、参院選と同日に国民投票を実施すべきだ」と発言し、国民民主党代表との会談で憲法審査会の毎週開催を合意した。自民・公明・維新の3党で憲法改正の国会発議に必要な3分の2議席を上回り、ここに国民民主が加われば改憲勢力は347議席となり、参院でもこの4党で3分の2以上となる。これら連携の行き着く先は、改憲大翼賛会だ。

 総選挙の結果によるこうした事態-「台湾有事」を口実にした中国への戦争準備のための日米安保軍事同盟強化と9条改憲への策動は、米中の軍事対決・挑発を激化させ、沖縄を再び戦場と化し、日本と南西諸島・東アジアの平和を破壊するものである。

 「分配と成長の新しい資本主義」と口当たりの良い言葉を並べて、貧困・格差に苦しむ民衆にその手を差し伸べるような素振りで総選挙に競り勝った岸田政権。その10兆円を超える対中戦争準備の大軍拡政策は、コロナ禍での倒産・失業を一層促進し、結局は福祉・医療・賃金・雇用破壊につながり、人々をして一層の低賃金・無権利の非正規労働者の拡大と更なる貧困・格差に叩き込む結果にならざるを得ない。

 岸田政権は、早晩、これら人々の怒りに包囲されるは必至である。決して諦めず、岸田自公政権・維新など改憲勢力の日米安保軍事同盟の強化―「戦争国家」への道を阻止する、粘り強い闘いを組織しよう!

問われる「この国のあり方」を変革する社会構想・戦略

労働・生活の現場からの労働運動の再生に全力を

 他方、野党共闘の軸である立憲民主党は、総選挙の敗北を受けて枝野代表の辞任―11月30日の代表選挙戦となった。

 立憲・野党共闘の敗北の原因はどこにあったか。その原因の一つは、「政権交代」選挙と言いながら、岸田自民党が「9条改憲と新安保戦略」で「この国のかたち」を戦後の「平和国家」から「戦争国家」へ、上からの破壊的「反革命」的再編の総仕上げにかかっているにも関わらず、これに真正面から抗してその危険を訴え、日本の国をどう変革し、どのような社会、暮らし方を創るのかを示せなかったことにある。

 二つには、地域の労働・生活の現場において、コロナ禍の非正規労働者や女性、青年たちの苦しみ、不安、怒りに根差した日常の活動を基礎に政治的要求を結び、これら人々の票を掘り起こすことができなかったことにある。今後、立憲の代表選は言うまでもなく、野党間での敗北の原因や主体的課題がどのように討議されるか注視したい。

 今、アメリカでは、貧困、格差にあえいできた医療や各種工場労働者などあらゆる業界での労働者のストライキが起こり、次々と勝利している。10月にはついに「ストライクトーバ(ストライキの10月)」という造語まで生まれた。
 コロナ感染拡大の中で、過酷な労働をもって社会を支えてきた労働者たちが怒りをもって立ち上がり、「労働者にもっと敬意を払ってほしい」と賃上げ・労働条件の改善を求めたのである。また低賃金の労働現場から退職希望者が相次ぐ「大退職(グレート・レグネーション)」と呼ばれる事態までも生まれている。世界的に広がる資本主義終焉のただ中で、日本の労働運動再生への大きなエールだ。

 国内では、オール沖縄会議が辺野古新基地阻止の「ブル―アクション」を行い来年の名護市長選、参院選、知事選に向けて団結を誓い合った。沖縄・宮古島からは、陸上自衛隊ミサイル基地の保良弾薬庫へのミサイルなど弾薬搬入阻止への行動が届いている。

 労働者民衆の闘う力に確信をもって、労働運動の再生に全力を挙げ、粘り強く闘う時だ。
 改憲発議、辺野古新基地建設、敵基地攻撃能力保有反対!の大衆行動を!

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