
編集部注:前号(155号)では、武建一氏「声明」と「委員長挨拶」全文を紹介し、武氏への緊急インタビューも掲載しました。今号は2弾として「関生再生委員会」の代表として活動を開始した武氏に、今後の闘う方向性をお聞きしました。(11月10日コモンズ編集部・関西にて収録)
―衆院選挙の選挙結果、情勢をどう見ていますか
武 日米安保体制を軍事同盟強化路線に転換し、敵基地先制攻撃を打ち出す等、憲法違反を平然と行ない、国防予算は倍以上の10兆超の方針を掲げ、議席の過半数を与党は確保した。
岸田総理は「国民の信任を得た」と言うが、選挙前はいかにも格差社会是正の素振りをして票をかすめ取ったのだが、選挙結果は「最後の徒花」となる思います。
米国衰退が進みグローバル下の各国競争は激化し、各国間の富の簒奪は今より激しくなるのは自明だ。これを軍事力で解決を目論むのが米・英・日本。
軍事力行使は、第9条と平和主義を謳う憲法前文に対する明白な違反行為だ。軍事増強を歓迎するのは米国であり日本の独占ですが、これらは国民への福祉・医療・教育~雇用の破壊にならざるを得ない。
少子高齢者、年金不安、格差拡大、非正規労働者の増大で貧富が目に見えている日本―少数の持つ者と持たざる者との矛盾対立の激化です。
政府は、多数を犠牲に搾取・収奪の強化以外に支配構造維持する事はできない。彼らの政策が、犠牲を受ける者の団結条件を拡大していくと思える。―情勢は我々を求めている。
適正な集約必須の業界
――関西の生コン業界の現状はどう分析を?
武 1949年東京で、1953年大阪に生コン工場が設立された事で大量生産と現場での効率的作業が可能となったことを受け、全国に生コン工場が設立されるようになった業界でセメントの国内消費と生コン出荷のピークは1990年代前半です。
最大22社あったセメント製造は、今は17社に集約され、国内セメント消費の71%は生コン工場を通じて消費されており、年間2億㎥程の出荷ピークから今や7800万㎥程です。
メーカーの販売戦略は生コン工場を支配下におく事で北海道、関東、名古屋、関西、九州はセメント直系工場による市場支配であり、他地区は販売店を製造各社系列で組織し支配しているが、関西では労組~協組の連携にでこれを抑えている。
今の大阪兵庫生コン業界は、平均各工場2800㎥の出荷なのに、販売価格が平均21800円であり、全社利益は得ている。だが稼働率は20%を割り込み、これを適正工場配置するには集約以外にはない。
近代化のため一工場当たりの出荷数量を効率の良いものへの計画実施が肝要です。
闘いの方向と具体的方針
――では、今後の闘いは?
武 関生再生のためには、次のような観点・政策を鮮明にして闘います。
1.この国の対米従属の根本にある日米安全保障条約の廃止。
戦争法案・共謀罪の発効阻止、沖縄辺野古新基地建設阻止、原発稼働阻止と廃止を求め、権力弾圧と闘う。
2.すでに提起していますが、大阪兵庫生コン協同組合は、労使協力関係を協同組合運営を基本とする事、恫喝、暴言等により協同組合の品位を汚さない事、役職を利用して私利利益の誘導のない事、経営者会に全社加入する事、適正運賃を行う事等6項目を実現する事。
3.一工場当たりの適正出荷数量は1万~1万5000㎥として効率性の向上を図ります。同時に、品質保証、教育等予算化する事。
4.集団交渉の実現と、運賃・賃金の平準化を図り、同一労働・同一賃金によるコストを平準化し団結条件を強化する事。
5.関生支部を強化発展する事は、労働者の賃金、雇用、労働条件の改善のみならず、中小企業の経営安定にとって重要な事です。
それには関生支部の幹部は、やっていい事、やってはいけない事を区別する能力を持って実践活動に臨む事。嘘を平気で言い、約束を破り平気な幹部や、組合員を犠牲にし幹が優遇の人事配置、赤字財政の垂れ流し、最高級腕時計を身に着け最高級車を運転手付きで乗り回す幹部に関生支部幹部の資格はない…これらを改める事。
これを改善する以外仲間や中小企業との信頼関係は生まれず、組合員拡大は無理。
6.敵との戦いに勝利するには、幹部自らの資質を高める事で、それには既に決定している14項目の実践が必要条件。
今ある生コン会館等を売り渡すなどして財産を食いつぶし、後は知らないとの今の幹部の無責任性、非常識性を暴露し正常化する事。そして一点突破で闘いを前進する方針を確立し、闘う事です。
――昨年の保釈以降、とりわけ10月支部大会直後のクーデター以降の1年間は、前号のように「外部にこの状況を口外しない」という支部の取り決めを守ってのいわば孤立無援の中での厳しい闘いの日々だったと推察します。「声明」を公表された今、改めて、闘いの決意を強めていらっしゃるように見えますが
武 私は一部幹部によって、この一年間、徹底的に無視され、自尊心を傷つけられましたが、今までの闘いの経験から肉体的にも精神的にも堪え得る事ができた。これからは、関生支部が以前の、まともで、闘う正常な労働組合になるため全力を尽くします。