連載第3回】台湾有事で日本を戦場にしてはならない/伊波洋一参議院議員
日本側との合意を一切無視する米軍とそれに沈黙する政府

「台湾有事で 日本を戦場にしてはならない」伊波洋一

【前号からのつづき】

滑走路が1年でドンドン沈んで行く

 (辺野古の)埋め立てをして、そこにコンクリートやアスファルトを敷いて滑走路を造っても、(地盤が緩いので)1年程度でドンドン沈んで行くんです。なので、沈んで行くのを直す工事を常にしなきゃいけない。

 本当に飛行場を使うことが出来るように毎回直せるのかどうか、そのことも含めて議論をしているのですが、彼ら(政府)は、「今は飛行場の話じゃない」と、あくまで埋め立ての状況だけを言っている。

強行される辺野古埋立

 ですから、私たちはこういった現状の問題を世間に知らせて広げていき、それから米国にもしっかり伝えて、そして「こんな飛行場なんか造らないほうが良い」ということはしっかり言い続けていきます。また、様々な抵抗もして行く。これが大変大事だと思います。

米機から年間700回も逃げる児童たち

 2019年の意見広告で大きく問題にしたのは、普天間第二小学校に2017年12月、大型ヘリ輸送機から90センチ角の窓が落ちたことです。
 この窓はヘリコプターからの脱出用の窓で、取り外し可能なものなんです。それが落ちたわけです。

 本来、この普天間第二小学校の上を米軍ヘリが飛んではいけないことになっているのですが、政府は米軍ヘリを飛ばさないことを守らせるのではなく、校庭にシェルターを建設して児童を避難するように指導させたのです。

普天間第二小学校に2017年12月、大型ヘリ輸送機から90センチ角の窓が落ちた

 本当にもう、我が国政府のやっていることはあべこべなんですね。
 国民の声を聞いて、米軍に対して注意したり禁止したりすることじゃなく、「米軍は止められない」という前提で住民のほうを規制しようとする。こういう状況だと思います。 

 これはQAB(琉球朝日放送)の映像の中から作ったものですが(資料をかざす)、ヘリコプターが飛んでくる時に防衛省の職員が「逃げろ」と言って校庭にいる子どもたちに呼びかける。そうすると子どもたちはシェルターに向かって一斉にかけていくわけです。

墜落の可能性ゾーンに小学校

普天間第二小学校の上空を飛行する米軍機
普天間第二小学校の上空(飛行禁止ゾーン)を日常的に違法飛行する米軍

 (資料を示して)真ん中の写真は実際に落ちた窓ですね。脱出用の窓で、ここが取れるようになっています。右側の写真2つは、その後に作られたシェルターです。現在3つあるようです。シェルターを作って、ヘリが来たらここへ逃げなさいと言っています。

 こういうシェルターを作って、2018年の避難回数は実に700回を超えています。現実に今、子どもたちが校舎に走って逃げているのです。年間700回も逃げるような、そんなことを放置し続けているのが我が国の政府だということは、やはり皆さんや多くの国民に知っていただきたいと思います。

 この普天間第二小学校への落下事故の4日ほど後に、近くの宜野湾市・緑ヶ丘保育園に同じような米軍ヘリ部品落下事故が起きたんです。
 その緑ヶ丘の保護者の皆さんは、それ以来ずっと抗議要請活動を今でもしております。その保育園の上には現在でも、嘉手納基地のジェット給油機が飛んでいます。その写真も下のほうに入れてあります。

 しかし今の市政は、普天間第二小学校についてはその立場もあって、なかなか政府に対してどうこう言っているわけではないんです。そして残念ながら、私たち市民それぞれも何かどこか違うんですよね、政府への姿勢や対応が。
 この緑ヶ丘の保護者の皆さんは、多くが第二小学校の保護者でもありまして、私は皆さんの声を(国政に)しっかり伝えております。

合意違反の米軍機、飛行経路の理不尽

 次にこれを見ていただきます。(資料を示す)
 2004年8月13日、沖縄国際大学の本館へ米軍ヘリが墜落いたしました。その後、米軍ヘリの飛行の安全性確保、また住民の被害を無くすために「飛行経路」というのが作られました。この黄色い線がそうです。

 同時に青い線で、ここの普天間飛行場に入る時と退出する時の飛行経路というのを作っているんですね。その青い線の飛行経路は、実は普天間第二小学校や緑ヶ丘保育園の上はありません。なのにその飛行経路を無視している。ですから、いま飛んでいる経路は合意違反なんです。

 緑ヶ丘保育園の保護者の皆さんは「合意違反の飛行をしないでください」と強く訴えていますが、政府は自分たちが決めたにも関わらず、本当に取り合おうとしないんです。「アメリカ軍がそれをやってくれないから」ということで。

 先ほどのシェルターを作って、「代わりにここへ逃げてください」と言っているというのは、本当に我が国政府は〝意見の無い政府だなぁ〟ということを象徴していると思います。やはり私たちが、政府に対してしっかり突き上げていかなきゃいけないだろうと、このように思います。

 飛行のチェックもしっかりとしているんです。ルートの調査もして、こういう風に。
 飛行経路図もちゃんと出来ていますが、その飛行経路図がいかに合意と合わないかというのはすぐに分かるんです。これを今の政府に言っても「いやそのう、飛行にはそれぞれの色々な事情があるから」と、何が事情なのか分からないうようなことをブツブツ言うだけですね。

 この飛行経路図も、もう今は公開しなくなりました。
 だから、私たちの国の政府が、いかに国民のための政府じゃなくて、国民の被害を見えないようにしていく政府だということが本当に象徴的に分かる場所です。

 さらに、これは私が市長の頃に提起したのですが、〝クリアゾーン〟というものが義務付けられているのです、米軍軍事飛行場には。
 というのは、米軍の飛行機には弾薬などの危険な物が入っておりますので、滑走路の延長上、このクリアゾーンには一切なにもあってはならないと。これはおよそ900mの長さです。つまり、そこは墜落の可能性が一番高い所で、実はそこに普天間第二小学校があるんです。

 そういったことを政府に言っても、「いやこれはアメリカの基準だから」といって、もう取り合わないわけです。
 我が国政府が「本当は誰を大事にしているのか?」そういう疑問を持ってしまう政府になっているわけですね。何よりも米軍優先という状況ですから、そこを私たちは変えていかなきゃいけない。

 (安全基準は)本当は適用されているんですよ。しかし、適用されていないフリを日本政府はしている。日本政府が言わないから、アメリカ軍は横着になってどんどん色んな事をやっている、これが今の日本の状況だと思います。

 次に、2019年の意見広告では、『沖縄からグアム・ハワイへの移転』ということをコラムの中で書きました。(次号へ続く)

〈6月13日 講演の概要は次の通り〉
■辺野古基地問題の始まりから今まで――
 ①辺野古に行きつく「SACO合意」 ②沖縄県民・名護市民の同意の無いまま ③2010年仲井間知事県外移設公約を反故
 ④辺野古移設反対で知事選はオール沖縄 ⑤未来を拓く島ぐるみ会議の誕生 ⑥5千名を超える辺野古浜での結集から ⑦翁長知事誕生と国政野党が全選挙区で勝利
 ⑧オスプレイの墜落と2017年工事始まる ⑨「諦めない、命の海を壊すな」2018年
 ⑩軟弱地盤変更承認なし工事は不可能 ⑪玉城知事応援のブルーアクションを ⑫滑走路が1年でドンドン沈んで行く
 ⑬米機から年間700回も逃げる児童たち ⑭合意違反の米軍機、飛行経路の理不尽 ⑮墜落の可能性ゾーンに小学校
■台湾有事で犠牲になる沖縄の未来――
 ①沖縄の海兵隊をグアムに移す米国戦略 ②北朝鮮や中国のミサイルが届く範囲の沖縄
 ③2025年にかけてグアムに4千名が移転 ④普天間海兵隊基地もにグアムに行くのが当然 ⑤残りもハワイへ移り沖縄にいる理由は無い
 ⑥基地被害110番2020年度に759回 ⑦辺野古埋立工事に遺骨の眠る土を使わせない
 ⑧基地を造るのは尖閣のためではなく台湾有事のため ⑨高江・伊江島など多くの米軍基地を強化 ⑩離島奪還の訓練を繰り返している自衛隊 ⑪日本を拠点にしながら中国と戦争をする気の米国
 ⑫中国との戦争のため3つの飛行場が必要 ⑬宮古島・石垣島ミサイル部隊で対中国戦争を ⑭米中のパワーバランス均衡点は今グアムに ⑮重要土地法案は沖縄の有人国境離島を使うための仕組み

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