映評『モーリタニアン 黒塗りの記録』
歴史と国家の闇暴く欧米映画人の正義心

日本版公式サイト

 2015年、ある男の<手記>が出版され全米は、驚愕した。何と2500もの箇所が黒く塗りつぶされた衝撃の内容だったのだ。

 アメリカが設置したキューバのグアンタナモ米軍基地に収容されていたアフリカのモーリタニア出身、モハメドゥ・スラヒ氏。9.11の首謀者の1人として拘束されたこの男性は、裁判は一度も開かれず基地内収容所に送り込まれ地獄の拷問の日々を送らされた。

 この問題の手記を映画化したいと切望したのが、『イミテーション・ゲーム』でアカデミー賞とゴールデングローブ賞にノミネートされ、英国俳優界の頂点に立ったベネディクト・カンバーバッチだった。自身の製作会社でプロデューサーに専念するはずが、出来上がった脚本に感銘を受けて出演も望み、遂に歴史と国家の闇を暴く問題作を完成させた。

 テロへの“正義の鉄槌”を望む政府から米軍に、モハメドゥを死刑判決に処せとの命が下り、スチュアート中佐(カンバーバッチが好演)は起訴を担当するが、この不幸なモーリタニア人を弁護する女性弁護士(ジョディ・フォスター:本作でゴールデングローブ賞)との緊密な法廷対決の中から、真実が浮かび上がる。

…欧米映画人の、世界を牛耳る体制派と完全対峙する魂と正義心は本物だ。自公政権へ媚びを売る者が多数派の、わが国芸能界には到底望めそうもない勇気だ。

■ 原作】河出文庫/モハメドゥ・ウルド・スラヒ著

モーリタニアン 黒塗りの記録

地獄のような収容所から世界へと発した命懸けの手記。
世界的ベストセラー。

 米国同時多発テロ首謀者と誤認され、米軍グアナンタナモ収容所に不当拘禁されたモハメドゥ氏。   
 そこでの非道な体験を記した手記は、アメリカ政府の検閲で2,500か所の黒塗りが残ったままの状態で2015年に出版されるも、世界的なベストセラーとなった。

   

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