連載(寄稿)(その63)
協同組合運動とは何か アジア・オセアニアの協同組合運動の歴史〇36

協同組合運動とは何か アジア・オセアニアの協同組合運動の歴史 近畿生コン関連協同組合連合会専務理事 増田幸伸

連載第63回

永和生コン分会の公然化(1976年2月27日)

永和生コン分会の公然化(1976年2月27日)

■関西地区生コン支部(2)

 関西地区生コン支部(関生支部)は1965年10月17日、第一回定期大会を開催し、5分会183名で結成された。この時、関生支部の組織形態は、企業別労働組合の連合体ではなく、個人加盟方式の産業別(業種別)労働組合の単一組織とした。各職場は分会として構成される。支部が団体交渉権・団体行動権を有し、財政を集約する。企業横断的な組織形態であり、日本の支配的な企業別労働組合と大きく異なる。
 しかし、産業別労働組合形態こそが世界標準である。他に職種(職業)別労働組合がある。いずれも、企業横断的組織である。日本でこそ支配的な企業別労働組合極めて特殊な形態と言える。

 なぜ産業別労働組合が誕生したのか。一つには当時、各企業の統一的な労働組合対策として、セメントメーカー主導による「関西生コン輸送協議会」が作られていた。また、組合潰しのために企業閉鎖まで強行した。こうした攻撃に対応するためには、企業横断的な統一司令部が必要と判断されたことがある。

 二つ目は、当時の全自連の生コン担当の指導者が海員組合出身であったことに起因する。海員組合は日本で数少ない産業別単一労働組合であり、産業別統一の団体労働協約を船主団体との間で締結し、組合員の賃金・労働時間・休暇・退職金などの労働条件はじめ人事・争議条項などを包括的に定めていた。戦前から産業別労組形態をとり、戦前労働運動の中核的存在であった。戦中は解散を余儀なくされたが、敗戦直後の10月に全日本海員組合として再建された。1946年9月には、海員の大量解雇反対闘争で本格的なストを構えた。当時、占領軍は占領目的に反する行動に対して、強権発動すると危惧されていた中で、物流の要であった船の運行を止めるという、解雇反対ストライキを組織し勝利した。この闘争は左派の中央闘争委員会が主導した。関生支部の発足前後には、こうした筋金入りの左派系企業別労働組合活動家に指導されていた。こうして、関西ローカルで小規模な生コン労組が、世界最先端の労働組合運動とつながり、日本の敗戦直後に支配的であった産別運動を継承することになる。

■産業政策闘争と協同組合(1)

結成以降、一進一退が続く、しかし、関生支部は徐々に生コン工場や生コン輸送会社を組織し、集団的労使関係を形成していく。当初、関生支部の組織はセメントメーカーの直系生コン工場に集中していた。直系工場の背後には巨大セメントメーカーが存在する。職場の要求を実現するために、直系工場への要求到達闘争が可能となる。しかしセメントメーカーの資本的背景のない生コン専業工場は、一中小企業であり、労組の個別到達闘争を際限なく実行すれば、破たんする。70年代前半、関生支部は専業生コン工場を次々に組織化した。そこで働く労働者の要求実現の方法が問われた。

 一方で、すでに触れてきたが、全国で生コン工場が爆発的に増えていた。生コン工場間の競争は激化したが、日本の経済成長による需要拡大の中で、矛盾は顕在化してこなかった。しかし、市場経済では好況不況の景気循環はさけられない。生コンは極端な値崩れが起こりうる産業である(すでに原因は言及してきた)。そこで、1960年代から生コン協同組合が作られてきた。共同受注事業(個社では買いたたかれるので、協組が受注の窓口になって、統一的な生コン価格で契約した)を進めた。

 ところが、1955年から続いてきた日本の高度経済成長は、70年代初めに頓挫した。生コン産業は供給過多の構造的な不況業種となる。過当競争の中で低価格競争の泥沼に入る。ここで、日本の中小企業政策である構造改善事業(協業化の促進と工場
の共同廃棄事業)の受け皿として生コン工業組合が作られた。

 さて、関生支部である。組織拡大の結果、直系工場と専業工場に対する共通した運動方針が求められた。生コン製造業や生コン輸送業はほぼすべてが中小零細企業である。生コン業界全体を分析すると、生コンの主要な原材料はセメントである。生コン工場はセメント独占により高いセメントを買わされる。また、生コンは建設資材である。生コン工場は建設独占・ゼネコンに製造した生コンを安く買いたたかれる。生コン中小企業は上流のセメント独占、下流の建設独占に挟まれた弱者集団であった。

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