「ソウル宣言」の精神をわが国に(その5)マネー至上主義の一掃へ

マネー至上主義の一掃へ、「共生・協同」の社会機構を

世界の覚醒した自治体、ソウルに集結

丸山茂樹氏講演「協同組合の可能性と未来」より

【これまでの講演骨子】安い工賃を求め低開発国をうろつき回り、各国共同体を破壊し続けるドル経済の実態。韓国での外国人花嫁の増加など、強欲なマネー資本主義によって世界秩序は乱れたままだ。

マネー至上主義の一掃へ (前回からの続き)穀物を買ってみたり、金を買ってみたり、石油を買ってみたり。それで今、買ったり売ったりして一番激しいのが国債です。それでリーマンショック以後、ヨーロッパのスペインとかギリシャで危機が起こり、今また「今度はどこだ?アルゼンチンか?」という風に言われております。
 マネー資本主義というものが世界中を支配するのですけれども、それが上手く行かなくなるとどうなるかというと、オバマ政権がやったのは、「GM(ジェネラルモータース)を潰すわけにはいかない」と言って莫大な税金を注いだのです。
 銀行、証券、自動車会社。これは国民の税金で救済しましたが、しかし、それが一般庶民まで及んだわけではないのです。

 ですから、私たちが共生協同を大事にしよう、1人1人の業者がきちんと努力することが基本ではあるけれども協同組合を作って協力しましょう。協同組合を作るだけではなくて、そこで働く労働者の人々ともきちんと意見を交換して共に生きていく方向を作り出しましょう、と話し合っているのは極めて当然でありますが、ただ口で言っていただけでは実現しない。それを実際に世の中に定着させていくにはどうしたらいいだろうか、ということを本当に真剣に議論するためには、そういう協同組合の人だけではなくて自治体の指導者も集まらなければならない。

 そういうことで、ソウル市庁のパク・ウォンスンさんという非常にセンスの良いリーダーが、実は去年の2月頃、私もちょっと相談に乗ったのですが、モンドラゴンを中心に取り上げたいと。それで、「モンドラゴンを学ぶにはどうしたら良いだろうか」と。日本に石塚秀雄さんという、モンドラゴンに何十回も行っている専門的な研究者が居まして、それからアメリカ人で私の友達のマット・ノイズさんという明治大学の先生が居まして相談をしていたのですけれども。そのモンドラゴンがですね、「いやぁ国際会議をリードするどころじゃない。自分のところがいま大変なんだ」ということでその話が無くなりまして、実は9月の初めに開こうとしていた会議を一旦チャラにしましてもう一度構想を練り直してもうちょっと冷静に世界中の協同組合や中小企業で、「しっかりしているところはどこなんだ」ということで研究会を4回ほど開きました。

 そして協同組合や中小企業を中心にした立派なみんなが生きていく社会を作ろうということで、ソウル市がまず協同組合活性化基本計画、現在8百ある協同組合を9年間で8千にすると。1千万の市民をなんらかの形ですべて協同組合で活動したり恩恵を受けるような仕組みにするという政策を去年の2月に決めます。そして3月にそれを担保する協同組合活性化支援条例という条例を作ります。この2つの政策と条例は私の研究所で雑誌に発表いたしました。

 それをモデルにして世界に呼びかけまして、皆さまにお配りしているソウル宣言の1枚めくっていただいて、2枚目の一番下の方に、〈フォーラムへの参加都市〉〈フォーラムへの参加団体〉というのがございます。イタリアのボローニャ、エミーリア・ロマーニャ州、京都市、モントリオール、ケベック、ケソン、ソウル、横浜というところの知事とか市長さん副市長さん。
 それからフォーラムへの参加団体ということでここに書いてあるような、比較的有名な団体が参加しまして、どうやってこの世界の強力なグローバル資本主義、強欲なマネー資本主義に対抗するかという戦略を立てましょう、ということを(ソウル市で)やったのですね。

■社会的企業を積極保護するソウル市

 もう一つついでに申し上げておきますと、韓国ではその前の年に協同組合基本法という法律が出来まして、協同組合がものすごく認可を取ったり、色んなややこしい条件を付けられているのではなくて、普通の会社が作れるように比較的簡単に作る。それから、社会的な目的を持った協同組合に対しては国や自治体が税金を免除するとか、受発注を優先的にするとか、そういう社会的企業を大事にするという法律ができます。

 これが協同組合基本法というのですが。これが出来て、なんと韓国では2012年の12月1日から今年の初めまでに3054の新しい協同組合が出来たのです。ソウル市だけで1千以上の協同組合が出来ました。どんな組合がどんな風に出来たんだということで、パク・ウォンスン市長が自分でスライドや映像を使いながら説明をしました。もうありとあらゆる領域、普通の生活に密着した、例えば子育てであるとか、保育園であるとか、建設会社や設計事務所であるとか。ありとあらゆる領域で、今までは株式会社がやっていた、あるいは役所がやっていた、あるいは財団法人がやっていたところを協同組合方式でやっていこうというのが今、韓国ではブームになっています。本当にビックリ仰天するぐらいです。

 ところが日本の新聞社やテレビ局はまったく報道しないですね。3百人ぐらい居るんですよ、日本のジャーナリストがソウルに。それなのになぜ報道しないのだろうと。(次回につづく

…………………………
パク・ウォンスン朴 元淳(パク・ウォンスン、박원순、1956年3月26日 ― )ソウル市長。弁護士・社会運動家。韓国の代表な市民運動団体「参与連帯」の創設に関与、執行委員などのほか、政策シンクタンク「希望製作所」理事なども務めた。今年6月行われたソウル市長選挙で野党統一候補として再選を果たした。

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