連載(寄稿)(その65)
協同組合運動とは何か アジア・オセアニアの協同組合運動の歴史〇38

協同組合運動とは何か アジア・オセアニアの協同組合運動の歴史 近畿生コン関連協同組合連合会専務理事 増田幸伸

連載第65回

■産業政策闘争と協同組合(3)

 73春闘以降、全自運・関生支部は総評・春闘のレベルを超えた成果と産業政策の新たな地平を踏み出した。75年には、生コン製造・輸送企業38社との間で政策懇談会が開催された。(1)対等取引条件確立のための協同組合化(共同受注・共同販売)の努力、(2)賃金労働条件の統一化、(3)労働基本権の遵守と不当労働行為の排除、(4)中小企業の実情の理解とセメントメーカー・ゼネコンの圧力の排除努力が協議された。

関西生コン78春闘

関西生コン78春闘


 さて、全自運(全国自動車運輸労働組合)は、1950年に全貨労連(全国貨物自動車運送労働組合連合会。1946年結成。当時の組織された運輸労働者の8割が結集)と総同盟系の全運労(全国自動車運輸同盟)が合同して結成された。大手の路線トラック労働者も多く参加していた。

 しかし、運動方針の違いや資本の攻勢の中で分岐していく。まず、52年に全自運は総評(日本労働組合総評議会。ナショナルセンター。企業別労働組合形態)に加盟する。総評は、当初、階級的労働運動であり戦闘的であった産別会議(全日本産業別労働組合会議。敗戦直後のナショナルセンター。産業別労働組合の結集)を解体し、穏健な労働運動をめざす目的で結成されたのであるが、大きな変身を遂げて活発な活動をし始めた。全自運はこれを評価して総評に加盟した。すると、総同盟系が脱退した。

 次に、65年には大手を中心に路線トラックの組合員が大量に脱退した。3万8千人の組織が1万人を割る事態となった。この大分裂の背景に、1つは61年に全自運は組織形態を連合会から脱して(企業別組織から産業別組織へ)、個人加盟を原則とする組織単一化の規約改正を行ったことが指摘される。もう1つは、全自運が総評全交通の統一闘争と結合しストライキと集団交渉を前進させ成果をあげたことに対し、危機意識を募らせた資本側の分裂攻勢が強力にあったことである。

 58年から64年にかけての定期路線トラックの闘いは画期的であった。日本トラック協会に、統一最低賃金・統一労働条件の中央協定化の中央交渉を申し入れ、同時に、定期路線55組織の争議通告(労働関係調整法第37条の規定。公益事業である路線貨物などの運輸事業はストライキなどの争議行為を行う時には事前通告しなければならない)をした。62年春闘では、路線17支部の中央集団交渉が実現し、「東海道定期路線統一運行基準」が締結された。さらに、63年には、定期路線統一交渉団(17社)は統一ストと交渉をセットとして闘い、賃上げの他に産別最賃を協定化し、時短を勝ち取った。物流の根幹をなす定期路線貨物の闘争力に脅威を感じた資本側は、64年から分裂策動を開始し、65年に決定的となった。

 全自運は、65年の組織分裂で大手が脱退していった後、中小企業における労働運動を真剣に模索した。トラック運輸産業では、ほとんどの運送事業者が中小零細であり、大企業荷主を頂点とする重層的下請構造と恒常的な過当競争におかれていた。全自運は資本一般ではなく、資本の中でも中小零細事業者の二面性(独占に収奪され、労働者を搾取する)を指摘した。大企業の産業支配に対する共闘関係を模索した。

 特に、73年のオイルショックと高度経済成長の破綻により、トラック運輸産業は倒産が続出し、深刻な事態となっていた。各地の「経営危機」と雇用確保の闘いが求められていた。各社(個別資本)における賃金労働条件をめぐる闘い(搾取への対抗)と、一方で独占資本の中小零細事業者への収奪を抑制する闘い(産業支配への対抗)を同時的に追及する「一面闘争一面共闘」の方針である。さらに、全自運は76年の定期大会で中小企業方針として「4つの方針」を打ち出した。①統一戦線(共闘)を志向し、労働者の権利を確保する態度を有する経営者に対しては、大衆的合意を基礎に、打撃的手段をとらない。②経営者の正当な要求についてはこれを支持し、積極的行動をおこす。③使用者概念を拡大し、真に解決能力のある者との闘いを推し進める。④使用者側に協業化・共同化を推進させ、また、共同でこれを進める。

 これを最も先進的典型的に実践したのが関生支部の政策闘争である。おりしも76年2月に通産省(当時)が「生コン近代化六項目」を発表した。すでに触れたが、近代化促進法による構造改善事業(協業化の促進と過剰設備の廃棄)が実施される発端となる。

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