連載(寄稿)(その66)
協同組合運動とは何か アジア・オセアニアの協同組合運動の歴史〇39

協同組合運動とは何か アジア・オセアニアの協同組合運動の歴史 近畿生コン関連協同組合連合会専務理事 増田幸伸

連載第66回

■産業政策闘争と協同組合(4)

総評結成大会ポスター

総評結成大会ポスター

 全自運・関生支部は、75年76年と中小企業労働運動の画期的な地平を切り開いた産業政策闘争を押し進めた。おりしも、中小企業経営者は、需要の減少と過当競争による倒産の危機と、他方で闘争力を飛躍的に高めてきた労働組合による攻勢を前に不安を高めていた。この時期の政策提起であった。つまり、危機の本質は独占資本の産業支配にあることの認識を共有化し、その支配と闘うこと、その具体的闘いとは中小企業が協同組合へ結集し、自ら運営することである。

 ところで、産業政策闘争は、従来のいわゆる「労使協調路線」とは異なる。日本の労使協調は企業別労働組合が、企業の存続や利潤を確保するために協力を行い、その利益配分としての雇用の安定や賃上げなどを求める。実情は、ボス交渉・第2労務部として機能し、企業のための労働者管理を担う(労使協調というが、結果的には雇用も賃上げも確保できなかった)。正規雇用男性労働者の利益を中心に機能し、他の労働者の権利を無視してきた。主として、連合(かつては、同盟や総評)に結集する民間大企業労組の路線である。

 敗戦後、民主化の要は経済民主化であり、財閥解体、労働基本権の確立であった。戦前にも労働組合法を作る運動もあったが、成立させることができなかった。戦前の組合組織率は最も高い時で8%台であった。しかし、敗戦直後の45年12月には労働三権を保障された労働組合法が制定された。権利の確立と必要に迫られ、労働組合の組織率は60%を超えた。

2・1ストのポスター

2・1ストはGHQの命令で中止となった


 既に触れたが、敗戦直後の労働運動の主役は、産別会議(全日本産業別労働組合会議)であった。侵略戦争を進めた日本の政治的経済的体制の改革・民主化を求めた。また、極端なインフレに対抗した賃上げ闘争も取り組まれた。47年2月1日には、公務員の賃上げを政府に迫り、全官公庁労組拡大共同闘争委員会がゼネラル・ストライキを決定し、実施を目指した。鉄道、電信、電話、郵便、学校が全て停止する。この運動を主導する共産党・産別会議に脅威を感じたGHQ・米国政府はこれを強権的に中止させ、当時の吉田内閣と共に、共産党・産別会議つぶしを画策する。

 一方、共産党も「革命政党」と「大衆団体」(労働組合・協同組合・市民団体等)との関係を「ベルト」論で律してきた。モーターが政党であり、ベルトでモーターの回転をそのまま大衆団体に伝えることが正しいとする前衛党観である。

GHQの命令でスト中止を伝える井伊弥四郎議長

GHQの命令でスト中止を伝える井伊弥四郎議長

同時に、大衆を指導する前衛党は決して間違わないという前衛党の無謬神話が信じられていた。そのため、米国・日本政府による強権的謀略的組合つぶし以外にも、大衆的基盤の脆弱性を突かれ、産別会議は総評に取って代わられた。

 さて、総評(日本労働組合総評議会)は産別会議の戦闘性や政治性を解体するために50年に結成された。結成時は反共的色彩が強かったが、翌年の第2回大会で平和4原則を決定するなど急速に左傾化し反米化した。この変化を、当時のマスコミは「ニワトリからアヒルへ」と呼んだ。さらに、53年には階級闘争を基本的理念とし、資本主義体制の変革を目標とする路線を明確にした。日本社会党を支持し運動方針に明記し、反戦平和の運動を進めた。55年から春闘を始める。

 しかし、日本資本主義は55年から73年まで高度経済成長を進めた。資本の強蓄積過程、産業の高度化を果たしていく。この過程で、民間企業の中で第2組合が次々と作られていく。資本の側から生産性向上運動が提起され、それを受け入れ労使協調主義が広がっていった。64年には労使協調・反共を旗印に同盟(全日本労働総同盟)が結成された。67年には民間企業では同盟の組合員数が総評の組合員数を上回った。しかも、総評に残った鉄鋼労連なども労使協調を深めていく。

 高度経済成長の破綻後というは、どういう労働運動を打ち立てていくのかという大きな歴史的分岐点であった。

 労働組合の組織率は、現在では過去最低の17・7%(2013年集計)である。しかし、従業員千人以上の大企業の組織率は45%(同年)ある。これが従業員百人から千人未満の中堅企業になると13%(同年)、百人未満の中小企業になると1%(同年)しか組織されていない。労働組合は既得権益集団となり社会性を失っていった。

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