「ソウル宣言」の精神をわが国に(その7)世界の悲惨の元凶「市場原理主義」の克服

世界の悲惨の元凶!「市場原理主義」―連帯経済が克服する

-国家や大企業に頼らない、自律の志こそ-

丸山茂樹氏講演「協同組合の可能性と未来」より

【これまでの講演骨子】少数の大企業が潤えば、やがて周辺多数に余慶が発生するのではという経済観はもはや過去の遺物であり、多元的自律的経済の営みが今後を拓く。丸山先生講演も次回で終了するが、いよいよ「ソウル宣言」の肝要部にふれる。(関西・S)

ボローニャ紀行 (文春文庫) (前回からの続き)聞いたことあるでしょ? 井上ひさしさん。吉里吉里人だとか、テレビなんかでも良くやっている。井上ひさしさんがボローニャ大好き人間で20年ぐらいずっとボローニャのことを研究していて、奥さんもイタリアに滞在したことがあって。それでNHKに頼まれて10日間ぐらいボローニャ物語を放映した。

 その体験が『ボローニャ紀行』という文庫本で文春文庫から出ています。そこにボローニャでいかに協同組合がうまく働いているのか。みんな共存共栄でぼろ儲けしたり、大金儲けしているような人間が居ない替わりにみんなが助け合っているという。しかもただぶら下がって福祉をもらっているんじゃなくて、みんなが努力する、怠けないように頑張っているというようなことが非常に分かりやすく、劇作家らしい形で書かれております。

 さて、ソウルの話をしました。ボローニャの話をしました。私の持ち時間もそろそろ無くなってまいりましたので、ソウル宣言の話をしたいと思います。

 現代世界の問題をどうやったら解決できるのか。今までいろんな国で七転八倒しながらなかなか解決できない。例えば、長い間掛かってサッチャーをやっと倒して、イギリスでブレア政権ができたけど、また保守党に負けちゃったんですよね。もうアメリカという国がどんなに酷い国かというのはニューオーリンズにハリケーンが来た時、お金持ちはみんな車を持っていて余所へ逃げてホテル住まいで、貧乏人だけが残ってまったく生活できない。アメリカ3億人の人口が居る内の、いわゆる豊かな生活をしているのは3千万人ぐらいじゃないですか。後の2億7千万人ぐらいというのは多分平均的な日本人以下だと思いますね。なぜなら、病気になっても国民皆保険じゃありません。生活保護も州によってはものすごく貧しいものです。そのアメリカがやっとオバマ政権が出来て少し良くなるかなぁと思ったら、リーマンショックの時に彼がやった行動を見て下さい。大企業を潰すわけにはいかないと言って大判振る舞いをしたけれども、一般庶民には恩恵は及ばなかった。
 
 どうしてこんなことが起こるのかというのは、やはりまだ、政治家にも官僚にも業界の大幹部たちにも、大企業が発展すればやがてその恩恵は中企業や下請けに行き、その恩恵が孫請けや零細企業に必ず行くんだという60年代70年代に我々が経験した、あの経験が今でも通用すると思っているんですよ。

 皆さんもう、90年代、21世紀はあの時代とは違います。パイが大きくなればみんなが中産階級になれるという時代ではなくなった。これを新しい貧困の時代。昔の貧困じゃない。 
 新しい貧困の時代、マネー資本主義の時代。みんなが、パイが大きくなればみんなが良くなる時代というのはいわゆる労働組合が春闘なんかでベースアップを要求すれば経営者もある程度応えて、それで済んだんです。いま、70代の人たちはみんな、60年代70年代のことを思い起こして、「そうだったなぁ」と思われるんじゃないですか。今は違いますよ、時代が。今は労働組合だけでなく、業者自身が事業者自身が協同組合を作らなければ時代を打開できないのです。そのことをソウル宣言がはっきり述べています。

多元的な経済が必要な時代

ソウル宣言

「2010年10月20日、ソウル市で15ヶ国20都市の指導者が、持続可能なエネルギーの利用拡大を通じ、化石燃料と原発削減を要点とする『エネルギーと気候変動緩和策に関する自治体のソウル宣言2012』を採択した」。〈ソウル市HP〉より

 読み上げていると、これの一部を大学のセミナーで読んだらですね、30分掛かりましたので、もう時間がありませんから読みません。要点だけ申し上げます。

 世界の危機と社会的経済というところで、こう言っています。「2008年のアメリカ金融危機に端を発した危機が2011年ヨーロッパの財政危機へ。さらに最近、アジア及び新興国経済の金融不安に繋がった。かような危機が市場原理主義への過度の傾斜とほとんど規制の無い金融世界化の結果であるということを否定することは出来ない」。まず現在の世界の問題の「元凶はここにある」ということを言っています。

 そして、これを解決するためには「多元的な経済が必要だ」と。多元的な経済というのは協同組合だったり社会的企業と言われるものだったり、第3セクターと言われるものだったり、中小零細企業、いろいろな経済がこれに対抗していかなければ一本調子の政治にだけ頼るとか、一社だけに頼るということだけではダメだと。もっと連帯しなきゃいけない。

 次の段落の「社会的経済はなぜ重要であるか」ということで、経済というものは何よりも人々のニーズに基づかなければならない。ニーズというのは「必要」ということです。
 教育にしても福祉にしても保険にしても介護にしても住宅にしても道路にしても、本当に社会が必要な物、ニーズを誰がどうやって供給するか。これを世のため人のために協力して頑張りましょうという企業にやってもらいましょう、というのが社会的経済にまかせようじゃないかと。なんでも国家になんでも大企業に。これじゃあダメなんです。

 私はこの間、東北の農協や漁協に招かれて10回以上通いましたが、本当にけしからんと思うのは国家は除洗作業にしても何にしてもみんな、ゼネコンと契約してゼネコンに20億とか50億の契約をして「執行しました」って言ってるんですよ。次号に続く

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