上原公子さん 国立景観訴訟に勝訴!判決に喜びの拍手わく

上原公子さん 国立景観訴訟に勝訴!

「完全勝利だ!」判決に喜びの拍手わく


上原公子さん 国立景観訴訟に勝訴■住民自治が問われた裁判

 「主文、原告国立市の請求を棄却する」。東京地裁増田稔裁判長が判決文を読み上げた瞬間、傍聴席から大きな歓声と拍手が一斉に湧き起こり、法廷内は喜びであふれた。裁判長はしばらく制止せず、笑顔で見守っていた。
 完全勝利だ!住民の自治が認められた瞬間だった。

■美しい景観は市民のもの

 JR国立駅から一ツ橋大学前を通って南に延びる大学通りはサクラとイチョウの並木が連なる美しい景観を形作っており、学園都市・国立市のシンボルとして市民に親しまれてきた。ところが1989年に高さ規制が撤廃された時ここに高層建築の計画が次々と持ち上がったため、景観を守ろうと市民が起ち上がった。運動はたちまち拡がり、99年、共に運動を担ってきた上原公子さんが市長に当選。建築物の高さを20m以下に制限する景観条例も、地権者の82%もの同意を5日間で集め、7万人の署名を集めて実現した。

■明和地所が損害賠償請求

 景観訴訟ではいくつもの裁判が争われてきた。住民の声に耳を貸さず高層マンション建築を進めていた大手不動産の明和地所は高さを制限する市条例を「営業妨害」として国立市に4億円の損害賠償訴訟を起こした。裁判は上原さんが2期8年の任期を終えて市長を辞めた後の08年、賠償金額を大幅に下げての市の敗訴が確定し、市が業者に約3120万円を支払った。明和地所はただちに同額を市に寄付した。

■上原さんに請求せよと提訴上原公子さん 国立景観訴訟に勝訴

 ところが翌年、4人の国立市民が、賠償金は国立市ではなく条例制定時に市長だった上原さん個人が支払うべきだとする住民訴訟をおこした。市長など公務員が「公務」として行なった事に責任が問われるのは何らかの重過失がある場合だが、10年、東京地裁は市に上原さんへの支払い請求を命じる判決を下した。上原市政を引き継いだ関口博市長は控訴したが、11年、第二審判決の前に市長選挙で落選。代わって自民・公明・みんな3党の推薦で当選した佐藤一夫市長は同年5月控訴を取り下げ、判決が確定。同年12月、今度は市が上原さんに損害賠償を求めて提訴した。
 公共の利益をめざす市民自治の問題を一私企業と個人の「個的な経済的利害」の問題にすり替える。これはスラップ訴訟の問題とも共通した構造である。市民自治の根底には人権と民主主義、市民の自由の概念の問題が横たわっている。

■民意を反映した判決だった

 今回の判決内容は、上原さんの行動を景観保持という政治理念に基づいたもので業者の営業活動を狙い撃ち的に妨害したものではないとして、違法性は高くないと判示。また賠償金と同額が明和地所によって市に寄付されており、財政的損失が解消されたと判断した。
 また佐藤市長に対しては、昨年12月の市議会で上原さんへの求償権放棄が議決され、今年3月にはその実行を求める議決がなされているのにこれを守らず、さらに地方自治法に基づき都知事に審査の申し立てもできたのにそれもせずに、上原さん個人への打撃に固執する姿勢を「権限の濫用」とする厳しいものだった。
 判決後、衆議院第一議員会館で行われた報告集会で、上原さんは「議会での(求償権放棄の)議決が2度もあった事を採り上げた、民意を反映した判決でした。この裁判は私個人の裁判ではなく住民自治を問うものだった。意義ある勝利だった」と語った。

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