労働法制の改悪を許すな!/仲村 実(管理職ユニオン関西)

「世界で一番企業が活動しやすい国」をめざす
安倍内閣と対決する労働運動を!


■今臨時国会成立が狙われている労働者派遣法の改悪

「Black」の連鎖を断ち切ろう!

「Black」の連鎖を断ち切ろう!(レイバーネットより)

 労働者派遣法の改悪の内容は、端的に言えば、従来例外とされてきた派遣労働を通常の雇用形態として公認するものであり、派遣労働の飛躍的拡大に持っていくということである。
 もっとも、派遣労働の根本的問題は、派遣会社という実業を持たない会社を媒介することによって、派遣先を雇用責任から事実上解放することにある。これを労働者の側から見れば、長年の労働運動の成果として獲得された労働者保護が形骸化され、労働がまさしく一個の商品とされることを意味する。労働者派遣法改悪は、こうした側面からも断固許してはならないのである。

■解雇の金銭解決法は先送り、解雇規制の緩和の動き

資本主義のモラルは崩壊した

資本主義のモラルは崩壊した

 国家戦略特区において先行的に導入しようとした解雇の金銭解決制度は、反対が強かったためにさしあたり見送られたが、今年2014年6月に公表された「日本再興戦略・改定2014」では、「主要先進国において判決による金銭救済ができる仕組みが各国の雇用システムの実態において整備されていることを踏まえ……、透明かつ公正・客観的でグローバルにも通用する紛争解決システム等の在り方について、幅広く検討を進める。【2015年中に検討】」としている。つまり、解雇の金銭解決制度導入の法制化は延期されただけで決して消えたわけではない。

 今年4月には「雇用指針」が策定された。これは企業の人事管理について「外部労働市場型」と「内部労働市場型」に分けた上で、「外部労働市場型」の場合には解雇規制を事実上緩和するものとなっている。さらに、「多様な正社員の普及・拡大」が打ち出され、従来の正社員を細分化し、地域・時間・職務のいずれかを限定した「限定正社員」については、やはり解雇規制を事実上緩和する方向が打ち出されている。正社員を「外部労働市場型」と「内部労働市場型」、そして「無限定」と「限定」に分けられ、「内部労働市場型」かつ「無限定」以外の正社員については解雇規制を緩和していこうというものである。

 有期雇用規制についても緩和が進められている。昨年12月には研究開発力強化法改定の中で研究者等に関する無期転換権の緩和(5年→10年)が盛り込まれた他、先の通常国会で「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」が提出され、継続審議となっている。いずれも2013年4月から施行された改正労働契約法の規定する無期雇用転換権を骨抜きにしていくものである。

■雇用の不安定化・流動化を推し進めるその受け皿作り

この求職者たちも放り出される 求職者に費用を負担させる形での有料職業紹介の規制緩和が予定されている。第4回産業競争力会議雇用・人材分科会に提出された、厚生労働省の参考資料では「ハローワークと民間人材ビジネスの『強み』を活かした連携強化が重要」とされ、ハローワークについては「就職困難者を中心に支援する雇用の最後のセーフティーネット」として位置づけるとしている。

 つまり、ハローワークは就職困難者に対する福祉の前段階的施策を行うものとされ、いわば一般の労働市場から脱落せざるを得なくなった人を対象とするようにし、それ以外は民間人材ビジネスに委ねるということである。すでに今年9月からハローワークの求人情報の民間開放が実施され、早晩求職情報の民間開放も実施される見込みである。

■求職活動も自己責任・自己負担

失業者を上機嫌で愚弄する麻生 解雇された労働者は、いわゆる就職困難者でない限り、派遣登録するか、職業紹介事業者に登録し、自己責任において求職活動すべしとの方向が着々と進められているのである。加えて、こうした動きを強力にバックアップするため、雇用調整助成金の削減と労働移動支援助成金の拡充が進められている。

 労働移動支援助成金とは「事業規模の縮小等により離職を余儀なくされる労働者等に対する再就職支援を職業紹介事業者に委託したり、求職活動のための休暇を付与する事業主に、助成金が支給される」ものである。「雇用を守る」という考え方は捨て去られ、雇用の不安定化・流動化とその受け皿としての民間人材ビジネスの飛躍的拡大が推進されている。

■労働時間規制の緩和

残業代がセロに! 雇用の不安定化・流動化とも連関しつつ、労働時間規制の緩和が進められている。第4回経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議で長谷川産業競争力会議・人材分科会主催は「年収1千万円以上の専門知識等を持っている働き手を対象として、労働時間ではなく成果をベースに賃金を支払う。労使の合意があれば、年収の低い一般社員も対象にすることができる」との改革案を提案した。

 これを受けて、「日本再興戦略・改定2014」では「時間ではなく成果で評価される制度への改革」が打ち出され、「一定の年収要件を満たし、職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者を対象として、……労働時間の長さと賃金のリンクを切り離した『新たな労働時間制度』を創設することとし、労働政策審議会で検討し、結論を得た上で、次期通常国会を目途に所要の法的措置を講ずる。」としている。

 現在のところ年収1千万円以上の労働者を対象とすることが見込まれているが、一旦こうした制度が導入されればなし崩し的に拡大していくことは、労働者派遣法を見れば明らかである。これに加え、来年の通常国会では裁量労働制やフレックスタイム制の見直しも予定されている。

■今こそ、労働運動の真価が、闘う再生が問われている

労働者は物じゃない

労働力の商品化は労働者を奴隷にする

 ILOは1944年のフィラデルフィア宣言において「労働は商品ではない」という原則を確認した。しかし、現在進行している状況は、労働の徹底した商品化に他ならない。

 労働者は自己の労働力商品の売り手として個人事業主化され、労働者保護の法規制は次々と取り払われる。労働者の雇用が保証される条件は、企業が求める成果を生み続けること、すなわち企業にとって価値ある商品であり続けることである。それができない労働者は解雇の対象となる。解雇された労働者は自己責任で求職しなければならない。

 労働者は「自由な労働市場」の中で、不断に自らの効用を高める一方で、より安価な値段で、自分の買い手を見つけることを求められる。商品価値(効用と値段)のない労働者は、派遣会社からも職業紹介事業者からも相手にされない。その結果、労働者は無限の競争にさらされる。

 フランスやドイツのように産別労組による規制があり、かつ失業に対する公的保障が充実しているならばともかく、そうした規制や保障を欠いている日本の現状からすれば、労働市場はまさしく弱肉強食の荒野と化すに違いない。
 今こそ、労働運動の真価が、闘う再生が問われている。
(仲村 実/管理職ユニオン関西)

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管理職ユニオン・関西とは(ホームページへ)
管理職ユニオン・関西 は働き先に関係なく、個人的に加入できる企業外の労働組合です。これまで管理職の方が多かったので、「管理職」の名前がついていますが、管理職でない方も含めて、働く者なら誰でもひとりでも加入できる労働組合です。職場の事で困ったら、労働相談窓口へ。管理職だけでなく派遣・アルバイトの方の相談も大丈夫!
管理職ユニオンの活動のほとんどは組合員の自発性に主をおいています。基本は相談者・加入者が闘いを始めた時、その闘いをサポートすることにあります。お互いが助け合う、意見を出し合う、参加することにより、理解が深まり自立・連帯・協働に結びついていきます。合い言葉は、「明るく、楽しく、元気を広げよう!」です。
社会混迷の中で労働相談は後を絶たず、交渉や闘争も増え、組合業務は増加する一方です。労働相談、団体交渉要員、府労委闘争、裁判傍聴など、皆さんの応援をよろしくお願いします。

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