蔓延する日本のヘイトスピーチ
「日独枢軸」時代へのノスタルジー?
ヘイトスピーチとレイシズムを考える 10/25立命館土曜講座より
10月25日、〈ヘイトスピーチとレイシズムを考える-マルク・ブロック「歴史のための弁明」を手がかりに〉と題する歴史学講義が、京都市の立命館大学衣笠キャンパスで市民に公開された。 この講義で、第2次大戦時のユダヤ虐殺を大衆に煽るナチス・ヘイトスピーチと現状蔓延する日本のヘイトスピーチの恐るべき共通点などが指摘され、あらためて現状の日本における政治状況での危うさが浮き彫りにされた。
フランス中世史の大家マルク・ブロックは、1942年11月、対独レジスタンス運動に専念してリヨンの運動を指導。1944年3月にゲスターポに逮捕され、激しい拷問の後29人の仲間とともに銃殺された
ナチス・ドイツの占領下にあって、ユダヤ系であるがゆえに大学からの退職を強いられる不遇の日々の中で綴られた『歴史のための弁明』は、ブロックが歴史家としての自己存在を証明した書として著名で、現代における国際的歴史学構築の際には、自国中心の独善的歴史観を排するブロックの学究的態度こそ求められると、木戸准教授は強調。この崇高なインテリジェンスを抹殺したナチ的な言動思考と、日本の現況の朝鮮人叩きでは、例示に見る不気味な同一性があるとして、日本のヘイトスピーチに対する国際的な眼と合わせ紹介された。
日本のヘイト・スピーチ
●自国・自民族の優越性と他者の劣等性、内なる敵の排除「反日」。
●名誉棄損・侮辱「日本から出て行け。スパイの子ども」。
●迫害の煽動「朝鮮人を日本から叩き出せ」。集団殺戮の煽動「朝鮮人を皆殺しにしろ」
これらは、かつての「日独枢軸」へのノスタルジー?とも目される動きと同調しており、2013年7月の「ある日気づいたらヴァイマル憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていた。あの手口を学んだらどうか」との麻生太郎発言。また日本会議など反動連中が4月強行した「大東亜共栄圏実現国民大行進」で叫んだ「河野談話再検証とともに、ナチス・ドイツも再評価すべき」など、国粋主義の台頭に大きな注意をとの呼びかけがあった。
またこの日本の反動化を海外は厳しく監視しているとして、2014・7・24国連人権規約委員会「ヘイトスピーチなど、人種や国籍差別を助長する街宣活動を禁じ、犯罪者を処罰するよう勧告:「差別や暴力を誘う人種的優位や憎悪を助長するプロパガンダをすべて禁止すべき」
8・29国連人種差別撤廃委員会「従軍慰安婦問題について、元慰安婦への人権侵害が継続、教科書への十分な記述を含めた教育の重要性、「公式謝罪、国家責任を公式に認めること」
などの動きが強調された。
■ナチスのヘイトスピーチから
「戦争開始時に、そして戦争中も、あらゆる階層から出て、あらゆる職業をもったわが最良のドイツ労働者数十万が戦場でこうむらなければなかったように、これらの1万2千か1万5千のヘブライ人の民族破壊者連中を一度毒ガスの中に放り込んでやったとしたら、前線での数百万の犠牲がむなしいものにはならなかったに違いない」A・ヒトラー『わが闘争』
「火中に入る時、突撃兵は朗らかだ。ユダヤの血がナイフから噴き出ればもっといい」
1933年ナチ党学生組織による左翼・ユダヤ人学生への襲撃で突撃隊ベーリンガースドルフ