「ソウル宣言」の解説-宣言の6つの特徴点/丸山茂樹氏(ソウル宣言の会)

GSEFロゴ11・2「ソウル宣言」プレ・フォーラム――報告(2)

「ソウル宣言」の解説 ‐ 宣言の6つの特徴点について

丸山茂樹氏(ソウル宣言の会)

丸山茂樹さん 「ソウル宣言」の6つの特徴点をご紹介いたします。
 第1は、人々が直面している危機的な情勢の原因が世界共通である事を指摘し、出発点にしていること。貧富の格差の増大、非正規雇用の増大、金融危機、財政危機、環境破壊の危機など、全て市場原理主義への過度の傾斜と、ほとんど規制のない金融の世界化の結果であるという事実を否定することはできない。

 第2は、これに対抗する協同組合論を始め「社会的経済」「連帯経済」と呼ばれている大小数々の組織と活動が世界中に生まれつつあり、これは未来社会への希望、人類に希望をもたらす贈り物である。

 第3は、社会的経済がなぜ人類に希望をもたらす贈り物なのかについて、公平で公正な社会をめざす、その方法は草の根の参加型民主主義であり、地域循環型の持続可能な社会であると。
マネー至上主義の一掃へ
 第4は、このような活動が個々バラバラであってはならない。ネットワークし連帯することでお互いの力量を強めることが必要だと述べていること。それも一国だけでなく、世界的にネットワークを造ろう、相手がグローバルである以上、我々もグローバルにつながろうと呼びかけている。

 第5は、グローバルにつながるために、具体的に何をなすべきか。極めて実践的具体的な10項目の提案をしている。その中には、世界中の人々が一瞬のうちに意見や情報を交換できるシステムを構築することや、市民教育、学校教育、社会的経済的教育、トレーニングなども含まれている。そして「ソウル宣言」は、これまでの宣言や一回だけのフォーラムとは違って、グローバル社会的経済の協議会をつくり、恒常的で持続的な活動をやりましょう、事務局をソウルが引き受ける、と述べていること。

 第6は、社会的経済、連帯経済を後押しする地方政府が政治的に介入し、地方政府、自治体と協同組合など社会的経済が連帯して事に当たろう、実力ある組織化へと協力することが実際的であると述べている。

丸山茂樹さん 韓国では2007年に社会的弱者のための事業を政府や自治体が後押ししようという法律―「社会的企業育成法」が制定され、2012年には「協同組合基本法」が制定され、5人以上であれば一般協同組合が設立できるようになりました。いま韓国では協同組合は設立ブームになっている。

 なぜ保守政党が多数を占める国会で、保守・革新・中道の超党派でこのような法律を制定することができたのか。韓国では、日本と同じように「両極化」と呼ばれる格差社会がこれ以上放置できないほど深刻で、これが背景にあり、市民団体や協同組合が連帯組織を作って、具体的な対案を出し、ロビー活動をした事も大きかった。

 しかし何と言っても朴元淳ソウル市長が「協同組合都市ソウル」政策を決め、「協同組合活性化支援条例」を制定し、今年4月にはソウル市議会が「社会的経済基本条例」を制定し「ソウル市長は社会的経済の発展のために国際協力を推進しなければならない。国際的な社会的経済の協議会の事務局の運営および協力、財政支援を行なうことができる」としたこと。そして今年6月4日のソウル市長選挙で、朴元淳氏は約60%の圧倒的な支持を得て当選したこと。この朴元淳市長のイニシャチブを抜きに、「ソウル宣言」も「グローバルな協議会」の設立もあり得なかったと思います。

ソウル宣言全文
連載「ソウル宣言」の精神をわが国に その1~その8(丸山茂樹)

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