関西生コン産業における労働組合と協同組合の連携
武建一氏(中小企業組合総合研究所代表理事・連帯労組関生支部委員長)

GSEFロゴ11・2「ソウル宣言」プレ・フォーラム――報告(5)
第2部 各分野からの実践をもとにした報告(2)

関西生コン産業における労働組合と協同組合の連携、
その背景と成果について

武 建一氏(中小企業組合総合研究所代表理事・連帯労組関生支部委員長)

武 建一氏(中小企業組合総合研究所代表理事) 今日は労働組合の立場からお話させていただきます。
 生コンは地球上に誕生して2500年以上の長い歴史をもっているが、一ヶ所で生産して輸送するという仕組みができたのは新しい。特に、わが国では65年の歴史しかない。大阪では1953年から61年の歴史を刻んでいます。
 生コン製造は、工場の機械で練るのですが、そこにバラセメントを運搬・納入する業者、製造にあたって砂とか砂利の骨材業者、生コンをかき混ぜながらミキサー車が運びポンプで圧送する業者がある。われわれの労働組合は、このすべての業種を組織対象にし、対象地域も近畿地方で、大阪府、京都府、滋賀、和歌山、奈良、兵庫の2府4県を、一部は名古屋まで手を伸ばしています。

■関西における生コン産業と労働者

 この生コン工場、現在、全国に3800ほどあり、そこからの出荷数量は年間で8500万リューベほど。それらの工場のほとんど90%以上が中小企業です。
 生コン産業は日本の高度成長と共に伸びてきて、その終焉と共に供給過多の構造的不況にあります。セメント大企業が中小企業同士を競争させて、低コストで最大の利潤を追求するという縦系列の支配構造ができている。これは、90%以上を占める中小企業は、個別対応では大企業との対等取引きができず、適正価格が収受できないという構造なのです。日本の重層的支配構造を見ていると、大企業の収奪政策、搾取を貫徹するための支配構造は、こうした生コン産業の構造と共通している。
不二越訴訟支援に立ち上がった連帯労組
 一方、この業種は労働集約業ですから労働災害とか事故が発生しやすく、低賃金・長時間労働で、ひどい時には残業だけで月に300ー250時間。所定労働時間が210時間ですからプラス250時間も残業する。こういう奴隷的な労働条件ですから、必然的に労働組合ができやすい。会社は労働組合ができると都合悪いから、自衛隊出身、四国、九州から従順な労働者を大量に雇いいれてきた。しかし、いくら従順な労働者でも、あまりにもひどい扱いに対しては我慢ならない、と労働組合ができた。しかし当初は、数も少なく弱い立場にあった。

■関生支部の発足、労組と協同組合の連携で経済・産業の民主化へ

関生労組パレード 労働組合は産業別労働組合でなければ資本の分断政策に有効に対抗できません。そこで、企業の枠を超えた団結組織を作る必要があるとスタートしたのが、1965年の関西生コン支部の結成です。企業別でなく産業別労組というところが、日本の他の労働組合と違うところです。

 われわれは、大企業のタテ支配構造を打破し、ヨコのつながり、連帯へと変えていこうと、その手段を労使関係における集団交渉と協同組合への各社の加入をもって闘ってまいりました。1970年代になってからは、とくに生コン産業界全体のあり方を変えよう、「経済、産業を民主化する必要がある」という考え方に成長し、発展してまいりました。

 タテ支配構造を断ち切るための取り組みは背景資本に対する闘い。つまり重層的な下請けの労働者の賃金、雇用、福祉とかを親会社に責任を追及し保障させていく。下請け企業の運賃とかコストなどのお金を大企業・巨大資本から取ってくる、という運動を展開してきた。巨大資本は一握りの少数で、大企業の利益と中小企業の利益は対立する。そうなると、犠牲を受けている側の人たちを一束にし、団結させてゆく事に成功すれば、少数の巨大資本は孤立していく。「勝利の法則」がそこから見いだせると考えたわけです。
関西生コン産業60念の歩み

協同組合の歴史を詳細した『関西生コン産業60念の歩み‐大企業との対等取引をめざして』社会評論社


 と同時に、協同組合を作っていく。協同組合は業者自身もつくっていたが、業者だけの協同組合は極めて弱い。なぜか。中小企業同士が競争相手だから連帯・団結が弱い。そこで、中小企業同士が競争しない仕組みを作る。要するに協同組合が窓口になって共同受注、共同販売をし、シェア運営をする。こうなりますと、個社が取引しないから団結力が強くなっていく。その際、労働組合は基本的姿勢として、中小企業にはふたつの側面があることを踏まえておかなくてはならない。一つは労働者を搾取する側面、もう一つは大企業から収奪されている側面です。労働組合としては、大企業からの収奪に対して団結してともに闘おうと。

 こうして労働組合と協同組合が連携して闘っていく産業政策を提言して、ようやく成果を得られるようになりました。三菱資本に雇用責任を追及した大豊、鶴菱闘争などの勝利をはじめ、住友セメント、現太平洋セメントとの闘争の勝利、2010年の4か月半にわたる長期ストライキなど、大企業の縦支配の構造の形骸化を促進してきました。
 
■大資本・国家権力の潰し攻撃・弾圧に屈せず闘う

武健一委員長

「会議を開いて参加しただけでは意味がない。それを実践していくことが重要」と訴える武健一委員長

 労働組合主導によって生コンの売値が決まることは、セメント資本の支配に大きな禍根を残すことになり、それでこの成果を潰しにかかってくる。ですから大阪は、中小企業が潰れるような極めて困難な状態が続いております。
 しかしセメントメーカーの影響力がそれほどない地域、和歌山、奈良、滋賀県の湖東、圧送の協同組合などで、労働組合との連携が非常に進んでおり、成果を挙げている。

 ただし、やはりこのような運動が前進していきますと、「日本の産業構造に大きな問題が生まれる」「関生の運動は資本主義の根幹を揺るがす。箱根は越えさせない」と大資本は階級的な反応をする。ですから手を変え、品を変え、なかなかその攻撃はやみません。今まで、われわれの仲間は2人殺され、私も5回ほど殺されかけました。仲間は何百人も逮捕・起訴されております。しかし、それでもわれわれは潰れることはありません。むしろ元気です。なぜかというと、いままでの運動によって得られてきている労働者の賃金の安定度、雇用の安定度、会社が潰れても労働組合で雇用を保障する仕組みができあがっている。ですから組合員は弾圧を怖れることなく闘う「実利」が存在している。

 ただ実利だけでは運動は継続できませんので、我々の労働組合は経済、哲学、歴史についてしっかり勉強しながら実践に活かしています。5年前には中小企業と労働者の砦・「協同会館アソシエ」をつくり、来年は新労働会館を作りそこに「労働学校」をつくる。若い人材を養成して5年10年後には労働組合の幹部になる人、社会的企業の幹部になる人、協同組合の幹部になる人、政治家になる人などを育てていこうと考えております。

 「ソウル宣言」には非常に共感し、国際会議も成功させる必要があると思いますが、会議を開いてそこに参加するだけでは意味がない。そこで実践をすることだと思います。そういう意味で、このプレ・フォーラムに相応しい活動を今後も力強く前進させてゆくという決意です。

中小企業組合総合研究所
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(連帯ユニオン関生支部、通称:関生労組)
連帯ユニオン

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