稲嶺ススム市長の再選に勝利を by 安次富 浩

安次富 浩(ヘリ基地反対協共同代表)
安次富 浩さん:平和と名護市政民主化を求める協議会(通称:ヘリ基地反対協議会)共同代表

 読者の皆さんがこの新聞を手にした頃は、仲井真沖縄県知事が辺野古新基地建設に関する公有水面埋め立て承認申請についての結論を出している筈である。仲井真知事が埋め立て承認したとしても沖縄の闘いは続くのである。なぜなら軍事基地の重圧に呻吟する沖縄は、日本政府による「構造的沖縄差別」政策が続く限り、平和的生存権を求めて非暴力の抵抗闘争を闘い抜くからである。

 年明け早々の1月19日の名護市長選挙では、「海にも、陸にも基地はつくらせない」と公約を遵守し、1期4年間の平和市政を作り上げた稲嶺ススム市長の再選に勝利することが最重要課題となる。名護市長選は沖縄の将来の命運を喫する重大な政治闘争なのである。

 稲嶺市長は2500件の市民意見書をもとに「名護市民の誇りにかけて、普天間基地の辺野古移設に断固反対する。これが名護市民の強い決意」との市長意見書を仲井真知事へ提出した。その際の記者会見で稲嶺市長は「普段の言動(県外移設を主張)に沿って、歴史に耐え得る判断を」とダメ押しした。仲井真知事が日本政府の圧力に屈し公有水面の埋め立て承認した場合、名護市民及びすべての沖縄人(うちなんちゅ)は稲嶺市長を先頭に辺野古新基地建設反対闘争を創意工夫して展開する。その闘いの結集軸は従来型の「革新統一」でなく、「沖縄の尊厳」を守る、すなわち「沖縄のアイデンティティ」を構築する統一戦線となるであろう。

安倍政権の秘密保護法強行と「平成の琉球処分」

 超右翼の安倍政権は尖閣諸島の領有権問題を足掛かりに対中国戦争を模索している。国民各層が猛反発した「特定秘密保護法案」を数の力で強行採決した意図は、日米の軍事政策に秘密というベールを被せ、集団的自衛権の行使の容認に向けて道標を作ることにあった。アメリカと共に「戦争する国」づくり、憲法9条の改悪に向けアクセルを強く踏み込んだのである。沖縄を再び戦場(イクサバ)にさせない。与那国・石垣島などの先島諸島への自衛隊配備を決して許さない。

 安倍政権は「建白書」に基づくオール沖縄で反対した「沖縄の民意」に恐れを抱き、「県外移設」を選挙公約にしていた自民党沖縄選出国会議員や沖縄県連を「普天間基地の固定化」で恫喝し、「辺野古移設」容認へと切り崩した。

 自民党県連への強権的介入をした安倍政権のもくろみは成功したのであろうか。日本政府の沖縄差別政策に懸念と怒りを持つ翁長那覇市長、仲里利信元県議会議長など自民党員や支持層から大きな怒りを買っている。那覇市議会は普天間基地固定化の恫喝に対し、自民党本部などへ抗議の意見書を採択した。これを皮切りに、他の市町村議会へと波及している。石破自民党幹事長の公明党中央本部への介入にもかかわらず、公明党沖縄県本部の金城幹事長は「平成の琉球処分」とコメントして「県外移設」を主旨とする意見書を仲井真知事へ提出した。

 沖縄は石破幹事長に屈服した記者会見上での5人の国会議員の惨めな姿を忘れない。石破幹事長は「国策に協力しなければこのような見せしめに会うのだ」と宣言したのである。沖縄タイムスの世論調査では、県民の70%以上が辺野古移設に反対し、5人の国会議員や自民党県連の裏切りを非難している。

「辺野古新基地建設反対闘争の大義」

 私たちの辺野古新基地建設反対闘争には大きく三つの大義がある。
 一つは、平和的生存権の確立である。「鉄の暴風」とも言われる悲惨な沖縄戦の体験を持つ沖縄。旧日本軍による住民虐殺、集団強制死、住民を壕から戦火の中に追い出す理不尽さなど。そして、米軍植民地支配下において、米軍兵士が引き起こす殺人、レイプ及び強盗などの凶悪事件、基地から派生する交通事故も含む様々な事故。多くは泣き寝入りを余儀なくさせられてきた。復帰後も日米地位協定で日本政府に手厚く保護されている米軍基地。それに加えて、旧日本軍の末裔である自衛隊までもが移駐してきた。在沖米軍は朝鮮戦争、ベトナム戦争からイラク・アフガン戦争までアメリカがアジアで介入した戦争の出撃基地として主要な役割を果たした。私たち沖縄人はアメリカがアジアで引き起こす侵略戦争の加担者になることを拒否する。
「美ら海」辺野古を埋め立てて「人殺し」を目的とする新基地を建設することは絶対に許されない
 二つは、自然環境保護である。新基地建設予定地である大浦湾から辺野古リーフ内は豊かな生態系を保持する「美ら海」である。絶滅危惧種に指定された北限のジュゴンが生息している。また、アオサンゴの大群落の発見など様々なサンゴ群が生息し、魚介類たちの楽園を呈している。この生物多様性豊かな美ら海を埋め立てて「人殺し」を目的とする新基地を建設することは絶対に許されない。

 三つは、財政問題である。防衛省が2013年3月に仲井真沖縄県知事へ提出した辺野古公有水面埋め立て承認申請書の中で、2300億円の埋め立て事業費が算出されている。ちなみに、安倍政権が予定している福島第一原発事故の汚染水防止策の経費は500億円である。この予算配分の矛盾が問われない国会審議の政治劣化と政党の組織疲労が露出している。未曾有の大地震と津波被害、原発事故に見舞われた東北地方の人々への復興支援対策が国民的最優先課題である。日本政府は米国政府に「新基地建設計画より東北地方の復興支援対策が最重要政策である。理解してほしい」と何故、対等な外交交渉ができないのであろうか。

国策としての「構造的沖縄差別」と闘う

 日本政府は在沖海兵隊の駐留理由を「抑止力」、「地政学」と嘘八百を並べ基地を押し付けてきた。日本政府は絶えず国策と称しながら、「構造的沖縄差別」を押し付け、沖縄を翻弄させてきた。私たちは「ナチスの手法を学べ」(麻生発言)とする反動安倍政権と対峙していく。日本政府から棄民扱いされている沖縄と被爆させられた福島県民の反原発運動との共同闘争で日本の変革へつなげていかねばならない。多民族国家・日本の多数派である本土の民衆自身の自己変革は沖縄、アイヌ、在日に対する差別構造を解体することにあるのではないだろうか。私たちは「沖縄のアイデンティティ」の確立と自己決定権を獲得する闘いに向け歩み続けていく。本土の闘う人々との協同・連帯の闘いの中から「琉球自治州」樹立に向け発展させていこうと思っている。

 名護市長選勝利が「構造的沖縄差別」から脱却し、沖縄の未来を切り開く大きな政治転換点となる。

2014年1月1日

(機関紙『コモンズ』第67号3面)
(タイトルや原稿のまとめは編集部の責任でさせていただいています)

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