「二等兵物語」と日本人・日本兵の名誉(2)/神子上徹

精神科クリニックの窓から/神子上 徹

「二等兵物語」と日本軍・日本人の名誉
―慰安婦問題に寄せて
投稿 二等兵物語 標記の記事をコモンズ(2015・1月10日号)に掲載していただいたが、それを読んだ知り合いから、下記のような、感想をいただきました。

「…私も同年代のため懐かしく思いました。言われる通り、強制の何ものでもない証しとして、当時の様相を物語っている映画であると思いました。特に、お書きになている場面は、私もその台詞そのものもはっきりと覚えているほど、子供心にも強烈でした。
木の扉の前にずらりと並んで列をなす兵士たち。この姿に、品位はもちろん、人間性のかけらもない。女性も男性もそんなところに追い込んだ戦争をこそ廃絶しなければならないのに、戦争大好きな安倍さんたちから、記事の捏造やでっち上げやと言われたくないですよね。…」とありました。

 ちょうど、週刊誌の記事に堀越千秋という人が、「美を見て死ね」と一いうコラムの中で、「出会ったミャンマーの人々のふわっとした笑い」について述べた後に、「いつから日本人は笑わなくなったのか、と言い、武士とか軍隊とかいう組織の人は笑わない、中国の習近平が笑わないのは国家を背負ってこわばっているからだ。
 自分の父親はシベリヤの過酷な2年の捕虜生活に耐え帰還したが、それでも日本の軍隊よりよっぽど良かった。上官から毎日理由もなく殴られないからな」と言ったと書いています。
 シベリア抑留については、過酷な酷寒の強制労働ばかり知らされていたので、大変びっくりしました。

田中克彦・<従軍慰安婦と靖国神社> さて、溜まった雑誌を整理していて、こんな記事に目がくぎ付けになりました。書評なので、ここは孫引きですが、田中美奈子「今週の名言奇言一日本人は彼女たちをうやまい、感謝しなければならない…田中克彦・<従軍慰安婦と靖国神社>」「たとえば海外に設置された慰安婦像。韓国人の日本に対する憎悪がどれほど強いか承知したうえでそれが哀悼の意を高める結果になっただろうかと著者は問う。
 一方、短絡的に像の撤去を求める日本政府にも厳しい視線が向けられる。
 <なぜ日本軍だけが慰安婦を必要としたかという、諸外国からの質問に僕はこう答える。オトコがオンナを求めたい気持ちが、日本人も諸外国人も、人種の違いをこえて差がないとするならば、日本のオトコに限って、オンナに青い寄り、「させてください」と頼み、相手もしたくなるようにさそう教養と技術に欠けていたからだと>
 かつての日本には恋愛を尊ぶ文化がなく、それが男女関係においで自立できない男をつくり、慰安婦制度をも許した。<国民教育の欠陥を反映していて恥であり、大いに反省すべきことはここに尽きる>。慰安婦は日本の兵士のために働いた。<日本人は彼女たちを敬い、感謝しなければならない> 
 誤解も恐れぬ大胆不敵な筆致が、兵士も慰安婦も貧農の子供たちであった。日本の男たちは慰安婦に対する敬意がない、そのことに田中先生は怒っているのである。と、斉藤氏は結んでいる。(週刊朝日‘14年9月26日号)

 堀越氏の父上のシベリア体験、それ以上にこの田中先生の主張には感心を通り越して衝撃的でした。男性である田中先生が慰安婦問題をこれほど頂くことの本質を突かれたことに匹敵する分析や文書にお目にかかったことはありません。(続く)

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