連載(寄稿)(その71)
協同組合運動とは何か アジア・オセアニアの協同組合運動の歴史〇44

協同組合運動とは何か アジア・オセアニアの協同組合運動の歴史 近畿生コン関連協同組合連合会専務理事 増田幸伸
連載第71回

■産業政策闘争と協同組合(9)

80年代・公安の労働弾圧が頻発になる

80年代・公安の労働弾圧が頻発になる

 1981年に大阪兵庫生コン工業組合(工組)と関西生コン産業政策委員会(4労組共闘)との集団的労使関係が形成され、労使双方に大きな成果をもたらした。82年も順調に発展していくかに見えた。

 82年春闘では、(1)大阪兵庫工組と政策委員会との集交だけではなく、(2)京都工組と政策委員会、(3)奈良では関生支部と生コン産労の2労組共闘による労使交渉、(4)バラセメント輸送事業者とセメント輸送基地(SS)の管理業者を結集させ、その経営者団体と関生支部と生コン産労の2労組共闘による労使交渉、(5)生コンの材料である砕石や砂(骨材)のダンプ業者との集交など、生コン関連の他地域他業種に影響力が拡大していった。

 この背景には、関生支部を中心とした労組の組織拡大がある。例えば、大阪兵庫工組に加入している195生コン工場の内、労組の組織率は関生支部が99工場50,8%、生コン産労が51工場26,2%、全化同盟が27工場13,8%、全港湾大阪支部が12工場6,2%に達していた(但し、1工場に複数労組の場合もある)。4労組による共闘の成立が政策闘争を前進させた。

 ところで、関生支部は1965年に5分会183名から出発したが、この時期の組織拡大は目覚ましかった。81年には、セメント・生コンで105分会1,393名、ダンプで19分会158名、バス・タクシーで13分会252名、トラック・倉庫で9分会91名、バラSSで33分会186名、重機リースで2分会13名、ポンプ圧送で1分会15名、清掃で4分会55名、原発で1分会183名、その他で4分会56名となっていた。全体で177分会2,410人であった。
 さらに、82年にはセメント・生コンで156分会1,902名に、骨材・ダンプで335名に、ポンプ圧送で95名に拡大した。全体で3,288名の組織となった。

 セメント・生コンにおける組織拡大は、産業政策による生コン業界の再建と賃金・労働条件の飛躍的前進に根拠がある。また、骨材を運ぶダンプ事業もポンプ圧送も生コンの産業政策に準じた政策展開の中で、経営者と労働者ともに信頼を高めていた。
 しかし、産業政策以外にも、解雇や企業閉鎖などの問題解決のために、「背景資本の追及」(使用者概念の拡大。資本関係や人事権を有する親会社などの責任を追及して解決を図る)を徹底することによる解決能力の高さ、不当労働行為(使用者が労働組合運動に対して行う妨害的行為。組合員に対する不利益処分・団体交渉拒否・支配介入・報復的差別待遇などで、労働組合法により禁止されている)や権利侵害、約束不履行などをなど)によって、停滞する労働運動の中にあって求心力を高めていた。

 徹底追及する能力の高さ、組織だった行動力(大量の抗議行動や宣伝活動、ストライキ関生型労働運動は愛知、静岡、東京へと広がりつつあった。特に、神奈川の鶴菱運輸闘争では、組合潰しのための組合員解雇を撤回させるべく、当該社のみならず親会社の三菱鉱業セメントにも責任を追及した。抗議行動やストライキだけではなく、事業者への影響力を行使して、三菱鉱業セメントの不買にも踏み切った。こうした波状的な攻勢の中で、81年に解決する。この過程で、東京地区生コン支部が80年に結成され、81年にかけて組織拡大し闘争力を強めていた。

 さて、日本経営者団体連盟(日経連)は、1948年に労組対策、労務問題を専任する経営者団体として設立された。戦後労働運動の強さの反映としてあったとも言える。2002年に日本経済団体連合会(経団連)に吸収・統合された。
 81年当時は、三菱鉱業セメント社長・会長を歴任した大槻文平が日経連会長を務めていた(79年~87年)。三菱鉱業の労務畑を長らく努め、炭鉱合理化の際には「首切り文平」とのあだ名があった。
 大槻文平は「関西生コンの運動は資本主義の根幹にかかわるような闘いをしている」「組合運動の範囲を越えた組合があって、セメントの不買なども行っており、こうした動きは十分警戒しなければならい」と発言し、セメントメーカーの足並みをそろえさせた。また、業界紙を使って、工業組合と労働組合が連携をしてメーカーへ闘いを挑んでいる。これは人民公社的な運動である。この闘いを放置してはならないし、「箱根の山を越す」ことをさせてはならないとのキャンペーンを張った。
 と同時に警察が動き出した。

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