ソウル宣言の会11月学習会から

テーマ:ポスト資本主義に向けての社会的経済の役割と可能性
 ――社会的経済は新自由主義勢力への対抗軸となるか――


ソウル宣言の会11月学習会 11月16日(月)、明治大学リバティタワー7階1076教室でソウル宣言の会が主催する学習会が開催され、約80名が参加した。東大名誉教授で「変革のアソシエ」共同代表でもある伊藤誠さんを招いて講義が行われた。(講義内容の詳細は次号で紹介します。)

 最初に、ソウル宣言の会から若森資朗さんが説明をおこなった。ソウル宣言の会とは、2013年に韓国ソウル市で開催されたGSEF(グローバル社会的経済フォーラム)において発表された「ソウル宣言」に賛同し、その趣旨を日本でも広めようという目的のもとに結成された団体である。2014年にソウルにおいて第2回のGSEFが開催された時、日本からは様々な団体から100名以上が参加した。
マネー至上主義の一掃へ
 資本主義経済は破綻を繰り返しながら極端な貧富の差を広げ、極めて少数の富める者と大多数の貧困者とに分けられてく。この矛盾を乗り越えて人々が横に連携し共に豊かになれる協同社会をめざすためにはどうしたらよいのか。

 若森さんは、実は社会的経済を模索する団体は自覚しているかどうかにかかわらず日本には非常にたくさん存在するが、それらの団体の横の連帯が構築されていないために、新自由主義勢力に対する対抗軸を創り出せていない、それをどう創りだしてゆくのかを考えてゆくために学習会を開催したのであると述べ、日本有数のマルクス経済学者である伊藤誠さんを講師として紹介した。

伊藤誠さんソウル宣言の会11月学習会 伊藤さんはまず戦争法に反対する署名運動が2000万人を目標として取り組まれていることを紹介し、参加者に賛同署名をお願いしたあと、講義に入った。
 伊藤さんは三つに分けて解説した。まず資本主義経済の歴史と、現代資本主義が陥っているジレンマに言及し、そこから「資本主義の逆流」(過去の政策への回帰)が起こっていると伊藤さんは指摘する。

 16世紀、資本主義経済は自由競争の時代で、各個人、各企業が自由に利潤を求めていた。しかしやがてそれは限界となり、国家の介入による帝国主義の時代が始まり、世界戦争が引き起こされる。そして第一次世界大戦のあとには世界恐慌が起こり、帝国主義各国がブロック経済へと後退してゆく中、一方に「国家社会主義(ファシズム)」による経済再建、他方にケインズの提唱になる「ニューディール」による経済再建が模索されたが、第二次世界大戦を通じてファシズムが解体し、ケインズ経済学が生き残った。

 一方、ロシアではレーニンによって社会主義革命が成功し、計画経済が発展してゆき、第二次世界大戦終了後には中国を含む世界人口のおよそ3分の1が社会主義となった。
 戦後の経済繁栄時代は1970年代には行き詰まり、ニクソンショックを経てブレトン・ウッズ体制が崩壊し、再び「自由競争」時代へと回帰したのが現代である。
 この自由競争、すなわち政府の介入の幅を小さくしたミクロ経済によって経済格差が大きく拡がり、第一次大戦以前の状態へと戻っている。
シェア!
 伊藤さんは、これに対抗する経済として、2013年にソウルでパク・ウォンスン市長により提唱されたGSEFを重視する。またそこで発せられた「ソウル宣言」が持つ可能性は、ソ連・東欧のような国家主義的な方法の失敗によって挫折した20世紀型社会民主主義・社会主議に対して、新しい「21世紀型社会民主主議・社会主義」として模索されていると指摘する。ソウル宣言の内容はその意味でも未来へ向けて大きな可能性を持ったものとして注目されている。

 そしてまさしくその理論的基礎として注目されているカール・ポランニーの研究所があるカナダのモントリオールにおいて2016年のGSEF大会が予定されている。そこではマルクスの理論も、これまでよりも自由な発想のもとで研究され、協同組合運動の中に新たな可能性を見出そうとしている。こうして、非情な資本主義市場経済に変わるよりエコロジカルでラディカル・ヒューマニズムな経済民主主義への論拠を固めることから、新しい社会的経済への道筋が創られてゆく。

 いくつかの質疑応答のあと、「ソウル宣言の会」の丸山茂樹さんがソウルの現状について語った。パク市長によれば社会的経済(あるいは社会的連帯経済)は現在、経済全体の3~4%程度でしかない。そこで協同組合を1000、2000に増やし、経済全体の10%、20%へと増やしてゆくことで社会を変えることができる。これが基本戦略であると語った。
 今後も学習会が設定されることになっている。また来年のモントリオール大会にも参加を呼びかける。

『コモンズ』90号の目次に戻る

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

  1. コモンズ最新号目次

特集記事(ランダム)

  1. D・ハーヴェイ「資本の謎」表紙より

    2018-1-31

    連載1】競争と分断の共進化から連帯と協同の共進化へ ―関西生コンの社会闘争が切り開いた地平/斎藤日出治(労働学校アソシエ副学長)

季刊「変革のアソシエ」No.31

最近の記事

  1. 新崎盛暉さん
    [caption id="attachment_11942" align="alignright" …
  2. 値上げイラスト
    収入が増えないのに負担だけが拡大 4月から暮らしが変わる  4月から暮らしに関する様々な制度…
  3. 3・30「働き方改革」=残業代ゼロの過労死法案許すな国会前行動
    「働き方改革」=「過労死」法案を許すな! 残業代もゼロに!  安倍晋三内閣は4月初旬にも「働き…
  4. 原発のない福島を!3・17県民大集会
     3月17日、福島県楢葉町天神岬スポーツ公園において「2018原発のない福島を!県民大集会」が同…
  5. 桜イラスト
    官邸の入口にある地獄門 安倍打倒そだねーの声充ちる 美ら海にドシャドシャ入れることならぬ…

職場・労働相談はこちら(外部リンク)


連帯労組の闘い ↑ 映画「フツーの仕事がしたい」より 労働相談は連帯ユニオン

行動予定

4月
21
18:30 ゆれる歴史認識 トロントから「南... @ エルおおさか
ゆれる歴史認識 トロントから「南... @ エルおおさか
4月 21 @ 18:30 – 20:30
ゆれる歴史認識 トロントから「南京」「慰安婦」問題を巡って @ エルおおさか | 大阪市 | 大阪府 | 日本
 皆さんは ALPHA(第二次世界大戦歴史事実を守る会)をご存知ですか?  この会は1997年から第二次世界大戦のアジアでの戦争の歴史を学生たちやカナダの市民に正しく伝えようとカナダトロントで結成されました。現在 ALPHA の団体は、カナダやアメリカなどの都市で歴史認 識活動を展開しています。  「悲惨な戦争の歴史事実を知ってこそ、平和を大切に思い築いていける」との考え方は、カナダの歴史教師や中国系、韓国系市民に共感を受け多くのメンバーが活動に参加しています。私達「南京の記憶をつなぐ」会の趣旨とも重なります。  アジアの戦争中に起きた南京大虐殺や「慰安婦問題」731、細菌戦など、これまで日本やアメリカによって隠蔽されてきた歴史事実を、市民や若者に伝えようと教育界に働きかけて副読本作成や学生シンポ、サマーキャンプ、スタディーツアーなどの 幅広いグローバルな歴史教育を企画し実践しています。  カナダやアメリカでもここ数年、「慰安婦」少女像の建設、また昨年「南京大虐殺記念日」の制定をめぐって、日本の歴史修正主義者たちが攻撃をしかけました。私達は、今回トロント ALPHA のフローラ氏、 トロントと日本で取材活動をしている田中裕介さんを大阪に招請しました。北米での歴史認識活動の意義やそれを巡る状況、圧力などホットな話題をお話ししていただきます。皆さんぜひご参加ください。 ■日時:2018年4月21日(土)  午後6時10分開場 6時半開演 ■場所:エルおおさか 7階 734 号室  京阪地下鉄天満橋西へ5分 ■講演:フローラ・チョング(トロント MPHIAL副議長)     田中裕介(トロント在住ジャーナリスト) ■協力費:800円 ■主催:「南京の記憶をつなぐ」準備会 フローラ・チョングの略歴と講演: 「なぜアジアでの戦争の歴史を明らかにするのか」 香港出身。1987年にカナダへ移住。英国で修士号(社会正義及び教育学)取得。2005年から正規採用のボランティアとして勤務。以来、アジア太平洋戦争の文脈における人間性の価値と社会正義を批判的に理解する能力を養うための教育と一般社会の啓蒙のため助力してきた。高校、大学、コミュニティを訪問し講演し、国際会議などにアルファ・エデュケーションを代表して出席し発表してきた 現在、アルファ理事会の副議長及び所長として勤務している。 田中裕介の略歴と講演: 「カナダから見える『南京』や『慰安婦』の歴史認識」  北海道出身。早稲田大学卒業。1986年にカナダへ移住。日系コミュニティ新聞の日本語編集者として20年以上勤務し、取材過程で多くの日系人会議、日系史発掘、エスニック問題、人権運動と取り組んできた。1994年以来、民話や創作を英語で語る「語りの会」を主宰し、自らカナダのみならず NY、韓国などでも活動してきた。また、日本の大学などでカナダに関する講演もしている。現在はフリーランスとして、日系メディアや「戦争責任研究」等の学術誌に執筆してきた。訳書に「ほろ苦い勝利」(現代書館)「暗闇に星が輝く時」(朔北社)等。 アルファ教育財団とは  非営利慈善団体。アジア・太平洋戦争史の中でしばしば看過されてきた史実の啓蒙と批的理解を高め、正義と平和、和解の価値を探ることを使命とし4つの方向性を伴う教育と代表発言活動を行っている。 1. 教育者、学生と共に活動する・学校でのワークショップ、会議開催・教材制作、教育者のために研修旅行、会議を開催 2. 青年層の強化・学生主体で大学でのアルファ支部・夏季集中研修、インターンシップ 3. 研究支援 ・記録・資料館のデジタル化事業・大学研究インターンシップ・学生への支援 4. コミュニティの連携 ・映像制作:「アイリス・チャン・レイプ・オブ・南京」、「アポロジー」等・出版:松岡環著「南京引き裂かれた記憶」
4月
23
18:00 第14回怒りのデモ 森友問題の核心... @ 大阪城公園「世界連邦平和像」前
第14回怒りのデモ 森友問題の核心... @ 大阪城公園「世界連邦平和像」前
4月 23 @ 18:00 – 20:00
第14回怒りのデモ 森友問題の核心は安倍昭恵と晋三だ! @ 大阪城公園「世界連邦平和像」前 | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■日時:2018年4月23日(月)18時集会、19時デモ出発 ■場所:大阪城公園「世界連邦平和像」前  大阪市中央区大阪城1-1 (大阪城公園 大手前広場)  大阪城の西側。大阪府庁のほぼ正面の道路を渡った広場にあります。 ■主催:「森友問題」疑獄を許すな!実行委員会  連絡FAX06-6304-8431
4月
26
18:00 沖縄意見広告運動全国キャラバン ... @ 連合会館
沖縄意見広告運動全国キャラバン ... @ 連合会館
4月 26 @ 18:00 – 20:00
沖縄意見広告運動全国キャラバン 歓迎と激励の集い @ 連合会館 | 千代田区 | 東京都 | 日本
■ 沖縄から出発した全国キャラバン隊が東京に来ます 4.26「歓迎と激励の集い」に参加ください  1月17日に沖縄辺野古現地を出発点とした沖縄意見広告運動の全国キャラバン隊が、沖縄コースを経て、2月には四国コースを、さらに九州コースなどを回り、4月には23日名古屋、24日静岡、25日千葉を経て26日東京に入ります。  そこで、全国キャラバン隊の皆様を迎え、各地での行動報告を聞き、その労をねぎらい、激励する集いを持ちます。是非、ご参加ください。 ● 日時:2018年4月26日午後6時~ ● 会場:「連合会館」2階201号室  東京都千代田区神田駿河台3丁目2−11   東京・JR御茶ノ水駅より徒歩3分 ● 主催:第9期沖縄意見広告運動  http://www.okinawaiken.org/ 沖縄意見広告運動とは? 沖縄の痛みを、全ての人びとの痛みとして、みんなで受けとめよう! 「普天間即時閉鎖、辺野古(海・陸)やめろ、海兵隊いらない」 このような想いのもと、沖縄意見広告運動は2010年3月に発起されました。国内外の新聞各社への意見広告掲載を中心に様々な活動を行なっています。 意見広告には、公表可能な賛同者の方々のお名前を掲載しています。 【第8期 国内向け意見広告】 掲載日:2017年6月3日 掲載紙:琉球新報、沖縄タイムス、朝日新聞 各朝刊 賛同者総数:12,548件 公表可:10,481件 匿名希望:2,067件 賛同団体:437件 ■ 第9期広告の掲載日は6月3日(日)予定 1万5000件の賛同目標実現にお力を!  賛同者のみなさま。いつもご賛同、ご支援をありがとうございます。  第9期沖縄意見広告の掲載日は6月3日(日)を予定し、沖縄2紙と全国紙との交渉に入りました。9期の目標は、第8期の1万件越えの成果を受け、さらに15000件の賛同を目標に、運動拡大に取り組んでいます。  どうぞ、友人、知人へ賛同の輪を広げて下さい。  振込表付きの第9期新チラシが必要な方は事務局まで連絡ください。  すぐに、お送りします。 沖縄意見広告運動事務局 ● 電話 03ー6382ー6537 ● FAX 03ー6382ー6538 ● mail info@okinawaiken.org (「コモンズ」117号の目次にもどる)

特集(新着順)

  1. 官邸前行動レポート写真1

    2018-4-18

    青年たちは今(3)官邸前行動レポート/高屋直樹(直接行動)

  2. 安倍は辞めろコールの広がり

    2018-4-17

    「森友疑獄」発覚の一歩から一年 渦中の木村豊中市議に聞く(下) ― 官僚に責任押し付ける権力の末路

  3. 2018-4-13

    今、関西でなにが起きているのか ― 在特・ネオナチ一掃の市民連携へ

  4. 痛いウヨキャラ

    2018-4-1

    ネットウヨ・ヘイト団体と化したか「公益社団法人」日本青年会議所 ー ヘイトキャラ「宇予くん」が問題化

  5. ナ・ヤンイルさん

    2018-3-31

    安倍が煽る米朝戦争の危機を止めよう ー 2・24 平和集会での発言から

バックナンバー

カテゴリ一覧

本日
昨日
累計
FROM 2014/01/01
ページ上部へ戻る