フィリピン「麻薬撲滅戦争」一般市民まで射殺 国際的非難高まる

一般市民や中毒患者まで、警察や自警団が裁判なしで次々と射殺

国際的非難が高まる
ドゥテルテ大統領

ドゥテルテ大統領


 フィリピンの新しい大統領ロドリゴ・ドゥテルテ氏の型破りな言動は国民には人気があるようだが、かなりやり過ぎといった面も目立つ。
 ダバオ市の市長を20年間勤め、麻薬撲滅で名を上げて大統領の座をしとめた彼は、7月25日に行われた就任演説で「麻薬王や資金源、密売人の最後の一人が自首するか、あるいは投獄されるまでやめない。彼らが望むならあの世に葬り去ってもよい」と述べた。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)がその結果警察官による殺害が激増していると警告を発すると、すかさず「内政干渉だ。国連を脱退するぞ」と脅しをかけた。「フィリピンのトランプ」の異名に恥ずかしくない対応ぶりだった。それにしても大量射殺はやはり……。(おおの)
街角で射殺された人力車夫にすがりつく恋人

街角で射殺された人力車夫にすがりつく恋人(7/27)
多い夜は18名が警官や自警団に殺された(AFP通信)


 ロイターが伝えるところによると、フィリピン国家警察のトップ、ロナルド・デラ・ロサ氏は7月22日、上院の委員会で、「7月1日以降、712人の麻薬の密売人・常習者が警察による摘発の過程で殺害された」と証言した。
 さらにロイター電は、このおかげでフィリピンでは麻薬常用者や密売人らの自首が相次いでいると伝えている。マニラの警察署に出頭した麻薬常用者や売人たちは、今が潮時だとコメント。ある常用者は「ドゥテルテ氏は常用者や売人に対して厳しい姿勢で臨むとしている。だから自首した」と述べたという。

 その一方で国際的には評判はかんかんばしくない。国連人権高等弁務官事務所以外にも、米国がこのやり方に懸念を表明、国務省のトナー報道官はドゥテルテ政権に対し、法執行に当たり人権を尊重するよう求めた。
射殺した薬物使用者の遺体を運び出す当局

射殺した薬物使用者の遺体を運び出す当局

  「あまりにも人権侵害がひどすぎる」と国際署名運動を呼びかけているのは国際人権団体アムネスティである。8月に「市民の命を奪うフィリピン大統領を止めて!」とする緊急アピールを出し、国際署名運動を展開している。

 地元メディアは「麻薬戦争」と呼び、一般市民を含む大勢が殺されていると報じているとアムネスティは指摘。以下のような具体的事例を上げている。
 「レナート・ベルテスさんとジェイビー・ベルテスさんは、薬物反応の検査のために連れてこられたメトロ・マニラの警察署で殺害されました。18歳だったジュリウス・ラビーナさんは、家の外で、薬物犯罪の容疑者とされる父親を探していたオートバイの男に射殺されました。ジェファーソン・バンナンさん、いとこのマーク・アンソニーさんは、密売人を探して警察が家宅捜索したとき、その場で射殺されました」。
 アムネスティは、このような行為は国際法や国際基準により禁止されているとして、「ドゥテルテ大統領に対して、違法な殺害をやめ、国際法と国際基準を守るよう求めてください」と呼びかけている。

緊急】市民の命を奪うフィリピン大統領を止めて!(ネット署名)(アムネスティ日本)
街角の死体、地獄絵の刑務所──フィリピン「麻薬撲滅戦争」の実態(AFP通信記事)
フィリピン:警官らによる殺害1700人以上(アムネスティ日本)
超過密!定員800人の刑務所に受刑者3800人 フィリピン(AFP通信記事)
フィリピン大統領ドゥテルテとは何者なのか(東洋経済ONLINE)

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