紹介】注目・管理職ユニオン関西のWeb機関紙「FACE」

管理職ユニオン関西・ネット機関誌「FACE」が仲間を励ます

企業と闘う個人を支援する労組
管理職ユニオンのネット機関紙FACE
 管理職ユニオン関西(以下ユニオン)は働き先に関係なく、個人的に加入できる企業外の労働組合として拡大。これまで管理職在職者が多かった所から「管理職」の名前がついているが、働く者なら誰でも一人でも加入できる労働組合として独自の地歩を築いてきた。

 同組織は、組合員の労働問題の相談・支援のほか、外部相談にも広く応じて来た。深刻な問題ではユニオン加入の上で、解決支援を行ってきた。ユニオンの姿勢は弁護士とは違い、相談者に代わり労働問題の交渉を引き受ける所ではない。問題に取り組むのはまず、相談者自身であり、それら個人を支援するのが同ユニオンである。

 労働問題は労働者自身が考え行動することによってのみ、真に解決できるとする同組織だが、相談者の秘密は厳しく守り、相談した事が会社に判ることはない。ユニオンに加入しても、必要無く会社にも通知しない。ユニオンに関わることで問題になることはないとの対外表明をこれまで行っている。

 そんな組織が毎月の行動成果を示すのが、Web機関誌「FACE」だ。ネット上で誰でも無料で読めるようPDF形式で公開されている。同誌はブラック企業との闘い方や、労働者が身に付けるべき実践的労働法への学びなどを掲載し、会員以外にも購読者が増大している。その10月1日号では、来年で20周年を迎える同ユニオンの歴史がつづられている。

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Web機関紙『FACE』Vol.26より転載

特集 結成20年、第21回定期大会を控えて

管理職ユニオン・関西書記長 仲村実


 来年、2017年5月で管理職ユニオン・関西の結成から20年となります。関西での管理職ユニオンの立ち上げと、その専従を引き受けることを決めたのが、1996年12月で48才の時でした。それから20年になろうとしています。名古屋はなくなり、東京は分裂し、我が関西は、私が書記長に再登場するなどいくつかの困難がありましたが、小さいながらも複数の専従で運動を継続して、それなりに労働者の組織化のために役立っていると思っています。
 今後の方向を見据える上で、組織の弱点とその克服方法、労働組合の危機的状況からの脱出の方策を整理してみます。

私の前史

 私は、工業高校の機械科を卒業し、分析機器・公害測定器メーカーであった柳本製作所に入社しました。職場では機械設計の業務をしていました。ガスクロ(ガスクロマトグラフィー)、液クロ(液体クロマトグラフィー)、自動車排気ガスの測定器、水質の測定器などの図面作成の仕事を17年間やりました。同期の者が係長、課長と昇進しましたが、私は昇進しませんでした(できませんでした)。20才くらいから組合活動、夜間の京都労働学校での自治会活動、反戦・反差別闘争などを始めています。その延長が今日の私です。

 1986年7月、組合つぶしの分社化反対闘争の過程で、威力業務妨害2件を理由に8名の仲間といっしょに懲戒解雇になりました。それから8年間解雇撤回闘争を闘い1994年4月に「謝罪文」を書かせ、一定の解決金で終結しました。その3年後、管理職ユニオン・関西の専従活動に入りました。

管理職ユニオン・関西での実践

 東京管理職ユニオンが培ってきたノウ・ハウを生かし、私流を模索しました。基本的な考え方、体験をまとめてみると、私にとって、これまでの組合活動で接触した労働者とは異なる管理職労働者との出会いでした。
 相談に来られる人の多くは、初期のころは結構、「何でこの人がリストラ解雇」になるのかと思う方が多くいました。精神的にまいっている人、助けを求めているという方もいました。中には、労働基準監督署や法律相談所を回ってから相談に来た人もいました。企業内組合も含めて労働組合の経験のない方がほとんどでした。

 話をじっくり聞いた上で、「あなたはどうしたいのですか」と、尋ねることにしてきました。ファイティングポーズが取れるかどうかを確かめたわけです。
 そして労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)の話をし、その権利を最大限活用しながら、一人でなく一緒に労働組合員として闘えることを伝えます。「組合員に加入すればいくら取れますか」という人もいました。こういう人には、基本的には「お金を払って、弁護士さんにでも相談にいけば、….」と対応することにしてきました。

 それから組合の会議は、公開・開放のオープンスタイルとしました。加入者には、組合員交流会への参加を呼びかけました。団体交渉中や抗議行動を重ねている組合員は、参加率は高かったです。
 上からの統制で個人の主体性を押さえ込むやり方は控え、自主性を尊重することをモットーにしてきました。
 「自分のことは自分でやってもらう」として、団交申入書を作る、会社との対立点をまとめる、団交の録音を自分でおこす、などです。加入の時には、「他の組合員は応援してくれます。あなたも他の組合員を応援する。これがユニオンの活動の基本です」「そうしないと、あなたは常に一人ですよ」、そして「受けた支援のお返しはする」ことですよ、と。相談者が加入し、活動するかどうかは専従オルグとしての醍醐味です。

 私は、出来るだけ組合員との交流、意見交換、討論につきあってきました。専従をやりはじめ事務所を設置してから午後7時を過ぎると、私自身がビールを飲みながら文章を作成したりしていたので、午後7時以降、特に金曜日はユニオン居酒屋になっていきました。職場で消耗した組合員にとって、ストレス発散の場にもなっていったようです。
 私は、8年間の解雇撤回争議のこと、政治や社会情勢のこと、家族のこと、社会変革や革命のことなどを相手の組合員の話を聞きながら、私の考えを伝えることとしました。そして時には批判もしました。メンタル状態の組合員とも結構、付き合ってきたつもりです。

 さらには、管理職ユニオンで事業をやろうではないかということ、何かやりたいことがあったら仲間を見つけ、自主活動をどんどんやってくださいとも言っていました。
 会社人間をやめざるを得ない仲間に、企業社会では味わえなかった魅力あるものを管理職ユニオンでつかむこと、新たな仲間を作ってくださいと。

管理職ユニオン運動の弱点

 私たちの組織は、(1)基本は飛び込み相談から始まる個人加入の組織です、(2)よって企業・業種・地域を越えて、主に大阪、兵庫、京都など近畿圏を組織対象としている、(3)組合員の自主的ボランティアに訴え、その中で相談活動、団体交渉活動ができるメンバーを作る。(4)組合員一人ひとりの自己決定を尊重し優先する。(5)「指導も救済もしない」という東京管理職方式で、組合員の組織依存や代行主義を排して、組合員間の徹底したサポート、相互協力を呼びかける。

 私なりに“弱点”という角度から整理すると、次のようなことになります。
  1. 個人加盟組織として組合員の自主性を尊重、当事者主義としているが故に、集団的活動への集中力はきわめて弱い。組合員一人ひとりのトラブル解決のための相互協力(団体交渉、抗議行動への参加)はそれなりに対応できるが、他団体・他労組への連帯・協力、および労働法制改悪反対闘争の取り組み、政治課題の取り組み参加と集中力が弱い。
  2. 組合員の意識として、リストラや個別的不利益に対抗する組合員個人の利益が優先され、労働組合組織の構成員としての自覚が弱い。労働運動の拡大・発展のために貢献するという発想が乏しい。
  3. その結果、問題、トラブルが解決すると離れていくことを常態とする解決型ユニオンとなっている。

 これらの弱点は、私たちのユニオンに限らず、コミュニティユニオン全体の弱点でもある。
 私はその克服策として、「私たちの合言葉・たたかうスタイル」を執行委員会で提起し、定期大会ごとに確認、掲載し、その体得を訴えてきました。しかし、その中身の学習・教育活動が十分出来ていないことは大いに反省すべきであると思っています。
 また、組織化の方策として、危機にある労働組合運動の企業主義、本工主義に対抗し、「関生型」運動を対置し、職種・業種別ユニオンを進めようと、その実践をしてきました。

 解決型ユニオン運動の弱点は、組織的な集中力・行動力の弱さに加え、財力、後継者不足があります。
 私は、2012年11月25の定期大会で書記長に復活し、その弱点を自覚し、労働運動の拡大・発展、弱点克服の方向を見据えてきました。

「私たちの合言葉・たたかうスタイル」の普及

 競争の格差時代に対抗し、その克服の為に“自立・連帯・協働”の思想を持ち続けよう。この時代を変革し・くつがえす、抵抗の力の主体は労働者です。勤労者・生産者階級としての変革主体は労働者です。私たちのユニオン運動は「明るく・楽しく・元気をひろげよう」、そしてみんなのボランティア精神で、以下の合言葉・スタイルを我がものにしていきましょう。

(1)闘う主体は組合員であるあなたです。
 「あなたはどうしたいのですか」と聞かれます。その答えはあなた自身が決める事を大切にします。闘うのはあなた自身なのですから。私たちは、この事を当事者主義、自己決定主義と呼んでいます。あなたが語りかければ、仲間は経験を、意見・批判を、時には応援もしてくれる条件・環境を豊富に与えてくれます。しかし闘うのか、妥協するのか、撤退するのか、決めるのは納得するあなたなのです。自己決定主義は、自ら進んで学び、仲間と語り、協力・協働する中で確信となるものです。

(2)元気をつかむ交流の機会、学習会に加わる
 組合員交流の場を多彩に設けます。自主性を尊重して強制はしません。自主的・自立的に参加し、出会いを大切にしてください。わがユニオンは、上から統制して個人の主体性を押さえ込む集団規範型の組合ではありません。個人の主体性や“わがまま”を尊重していますが、逆に、個々の組合員に対しても“わがまま”や“問題点”については批判を浴びせることも認め合っています。時には厳しい批判が飛んできます。何はともあれ、可能な限りまず運動に参加することが元気の源になります。

(3)自分の事は自分でやる
 加入通知書、団体交渉申入書など、努力してできることは自分でやる事です。マニュアルの充実をさらに図りますが、何でもマニュアル通りにはいきません。出来ない人は、仲間にサポートをお願いして下さい。自分で努力し挑戦する姿勢こそ必要なのです。頼りすぎると頼りにならず、頼らず活用の仕方をマスターすれば頼りになるユニオンなのです。

(4)敵は小さく・少なく、味方は大きく・多くする
 労働者は一人では弱いです。ユニオンの一員に加われば労使対等の団体交渉権がえられ、他の組合員の応援もできるし、受けることもできます。職場で仲間が出来れば現場での対処方法を相談できます。闘争、抗議行動などをする場合は、多くの情報源が得られればより有効な戦術が取れます。敵は少なくし、敵の支持者は中立に、中立者は理解者に、理解者は仲間に、仲間は同志に、ユニオン運動の飛躍は、仲間と同志を多くつくる運動でもあるのです。

(5)人生観と価値観について大胆に討論し、脱会社人間の確立をする
 自立のために大いに議論しよう。情勢について、労働論、生きざま論、革命論、さまざまな価値観、文化や趣味などの議論を大いにしましょう。そのことを通じて、会社人間を脱皮し、仲間を思いやり協力・協同する人間関係を形成します。このことは、社会を変革する力となっていきます。敵対矛盾でない限り、話し合いで解決し、異論があっても協力・団結できる包容力ある労働者になろう。

 この合言葉・たたかうスタイルの意見交換・討論を組織していきます。場合によっては、その再検討も必要かもしれません。

業種別・職種別ユニオン

 この方針の一部「職種・階層別」グループ化は、2005年11月の第10回大会の運動方針に初めて掲げられました。管理職ユニオン・関西の京都滋賀事務所の開設が2004年1月、「アルバイト・派遣・パート関西ユニオン(現、関西ユニオン)」の結成が同年5月、私から書記長が大濱氏に代わったのが同年11月の第9回大会です。管理職ユニオン・関西が大きく活動領域を拡大した年でした。管理職ユニオン・関西の中心は大濱さんに、京都滋賀事務所は本田委員長(当時)、山岸さんを中心にやってもらうことになりました。私は、関西生コン支部らと「非正規労働者のための協働センター」を設立し、こちらの活動にも時間をとりました。

 その後、「職種・階層別」グループ化は部分的な取り組みで、関西生コン支部等との共闘は進められましたが、執行委員会全体のものになりませんでした。
 2012年11月、私が書記長として組織の立て直しに復帰した第17回大会後、実際に行動し積み上げ、共闘も取り組みも執行委員会で確認し取り組んできました。
 これまで「関西生コン型の産業別労働運動、産業政策闘争に学ぶ」とし、職場では一人であっても組合員を「業種・職種」でくくりグループにすること、「業種・職種」グループをベースとして他労組との「協力・共闘」へと進めること、そしてローカル(地方的)であっても「ゼネラルユニオン型組織への合流・統一」の団結をめざすことを方針化し、関西生コン支部や2月に結成された関西クラフト支部と交流や協力・協働を重ねているところです。

専従について

 私たちの個人加盟ユニオンの労働組合専従は、サラリーマンではない。労働組合は会社組織ではない。会社や資本のように金儲けの為にやっているわけではない。通常の労使関係があるわけではない。以上の点を強調しておきたい。

 私は、柳本製作所で懲戒解雇され、解雇撤回闘争を8年間闘い、裁判では負けていたが社長に謝罪させ終結した。そこで解決金を得た。その解決金の一部を管理職ユニオン・関西の立ち上げ費用に出しました。カンパをしたということです。企業社会や資本主義の考えからは、出資をしたからそれに見合う配当金を期待します。そんな発想は、私には毛頭なかったし、返済を求めることも考えたことがなかった。自分自身が専従を引き受けて、責任を持ってやる労働組合運動であるとしか考えてこなかった。
 組合員が増え、専従が複数になり、活動規模、活動範囲が広がり、労働運動としての拡大・発展につながればよいと考えてきました。専従活動をはじめた時から、こんな言葉や文章で表明してきたわけではありません。

 また、管理職ユニオン・関西は、東京管理職ユニオン同様、書記長が全体をまとめ、組合の中心としてやってきました。管理職ユニオン・関西は、組合員も増加し、私の提起した方針、非正規労働者を対象としたユニオン建設もスタートさせました。そのため、管理職ユニオンの大会で了解を得、多くの費用も使いました。

 ところが2012年11月の定期大会で、書記長であった専従が、管理職ユニオン・関西の要としての書記長の活動が果たせず交代(書記長→副委員長)を提起したが、そうした配慮を無視し、委員長選挙に出て落選しました。落選したら専従は終了であり、組合員として残るには働くしかない。もしくは、支持する組合員を引き連れて別組合を設立することもありえるかもしれない。この元専従はいずれの選択もせず、雇用されていた労働者である(雇主は、執行委員長という)として、労働者の地位があるから給与を払えと裁判を起こしたのです。
 私は、裁判の結果に関係なく、冒頭に述べた通りで、もともとこの元専従は専従になる段階で失格であり、誤った考えであるとします。

第21回定期大会に向けて

 ヨーロッパにも管理職ユニオンがあります。今後はどうなるかわからないが、日本の管理職は、社会階層としてのエリートとは言えず、大卒ホワイトカラー労働者か、企業内教育で形成された労働者であり、きわめて流動的で不安定な労働者階層と言えます。
 多くの企業内組合は、企業内ユニオンショップ協定で、課長以上の管理職や人事・労務・経理所属の平社員までもが非組合員扱いになっています。こうした企業内労組から排除されている管理職層、外資系企業からヘッドハンティングされる管理職層、それ以外の中小企業などの管理職層、60歳以上の高年齢労働者を組織対象とした管理職層の組織に純化していくと、昨年の方針で決めました。

 日本は、中小零細企業が圧倒的に多く、中小零細企業で働く労働者の多くが未組織状態です。また、大企業が中小零細企業を下請け孫請けとして系列化し、搾取・支配し、従属化しています。この重層構造が労働者の差別・分断、格差の基となっています。
 これまで、「関西生コン型の産業別労働運動、産業政策闘争に学ぶ」とし、職場では一人であっても組合員を「業種・職種」グループ化し、そのグループをベースとして他労組との「協力・共闘」へと進めること、そしてローカル(地方的)であっても「ゼネラルユニオン型組織への合流・統一」の団結をめざすことを方針化してきました。

 もともとゼネラルユニオンとは、「運輸とその他」「介護と医療」「流通・サービス」というように、「複合」業種別職種別という意味合いで、出来るだけ大きく括るという組織単位とされています。従って、昨年の方針を継承して、管理職ユニオン・関西、関西ユニオンとも一緒に業種・職種別グループ化を推進して行くことになります。
 その実行は、執行部が運動の先頭に立ち、トラブル解決型ユニオンからの脱皮を強める。組合員に対し、業種・職種別グループへの参加をするよう働きかけ、学習機会を増やしていく。社会運動、政治運動にも、執行部が手分けして参加し、大衆行動には組合員にも呼びかけていく。

 それと次世代への引継ぎです。後任専従はいますが、もう一人の若い専従が必要だと考えていますので、この人材発掘です。その後、私は次の活動に移ろうと思っています。

(「コモンズ」100号の目次にもどる)

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