ナチスの真似は止めよう/三宮克己(元府中市議)

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三宮克己(元府中市議)

ナチスの真似は止めよう

 10月29日の東京新聞朝刊、スポーツ欄にグリーンリボンランニングフェスティバルで今年も右手を斜めに高く差し挙げている選手宣誓の写真が出ていた。その前の6月にも都の女子中学軟式野球大会で同様のスタイルで宣誓をしているのを見た。
 主催者はスポーツ大会での形式として例年選手に実行させているのかも知れないが、これはあの悪名高いヒトラーが率いていたナチスの敬礼である。

 今なおナチスの戦犯を追及しているドイツでは思いもよらぬ行為だが、そのナチスと同盟を結んでいた日本では、戦争責任をあいまいにしているので、十分な反省もないまま、未だスポーツ界ではこれを継続している。1984年の若草国体の頃までは、選手団も右手を挙げて入場するナチス式行進であったが、さすが今は無くなっている。しかし礼式は残っているので他にも実行している団体があるのか、外国にもあるのか。もし自信があるのなら日本国内ばかりでなく世界大会やオリンピックででも実行して見るがよい。

 「花の維新もナチスの勝ちも、みんな僕らの若い手だ」と歌った私たちの世代には、意味もわからず今も誇らしげに右手を高く挙げているスポーツ青少年たちがヒトラーユーゲントにつながったと見えて傷ましい。見るも不愉快な光景だ。型だけでも、もうナチスの真似は止めよう。

※東京新聞に提言が届く間もなく11月1日、2日の各新聞に、欅坂グループのナチスばりの服装問題が、イスラエル側の抗議として日本ばかりか外国の新聞にも抗議。疑問の声が上がり、日本は当惑している。

三宮克己さんプロフィール
三宮克己(元府中市議)三宮克己(元府中市議)1927年朝鮮生まれ。敗戦を鎮海海軍基地で迎え帰国後、南方北方の復員輸送に従事。1950年朝鮮戦争勃発、日本政府の命令で参戦。朝鮮半島東西両海岸を米軍の作戦に従い仁川・元山などの上陸作戦、興南の脱出作戦などに参加。
1963年奄美大島で日本社会党支部結成、専従書記などを経て上京。労組書記、社会党中央本部書記を務める。1975年府中市議に当選。1992年辞職。都議選に立候補し次点落選。無所属で市議に復帰、計7期を務める。市議在職中、障がい者、在日外国人、中国帰国者などへの差別の解消に奔走、現在に至る。

■編集部・注 ーーーーーーーーーーーーーー

 グローバル資本主義の破綻が誰の眼にも明らかとなり、その矛盾が社会を「勝者と敗者」に分断しつつある。そしてその結果、ますます多くの人々が困窮生活を強いられるようになっている。
 ところがこの困難に乗じて、不満の矛先を貧困者や弱者やマイノリティの人々に向けた排外的な差別・迫害が増大している。在日コリアンや中国人に対する敵視と執拗なヘイトスピーチ、本土の機動隊員による沖縄での差別的言辞、神奈川の障害者大量殺人、福島からの避難児童へのいじめなど枚挙にいとまが無い。これらはすべて社会的矛盾が人々の心にゆがみをもたらした結果だ。

 このような動きは日本のみならず、世界中で拡大しつつある。アメリカではメキシコ人労働者やイスラム教徒、有色人種などへの白人労働者の排他的感情を利用して当選したトランプ次期大統領に期待を寄せるKKK団やネオナチなど極右団体の活動が活発化している。ヨーロッパでも中東地域からの難民の受け容れを巡って排外主義が増大し、オーストリア、ドイツ、オランダ、フランスなど多くの国々で極右民族主義政党の台頭が著しい。次期政権を取る可能性も取りざたされている。その彼らのあいだでは、かつて民族排外主義を旗印に政権を奪取し独裁政治と侵略戦争に突進していったナチスがシンボル的存在となっている。

 日本ではヒトラーやナチスへの認識はまだ浅く、その危険性への警戒心も軽いが、いまだにあらゆるスポーツ大会においてナチス式敬礼による「選手宣誓」が何の自覚もなく行われている。こうした、無意識のうちに排外主義者のシンボルを受け容れている状況に対して警鐘を鳴らす投稿を、元社会党府中市議の三宮克己さんよりいただいた。(編集局・M)

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